自治体でのRPAの導入状況は?課題の解決法や導入事例をご紹介
概要
2018年に総務省が自治体へのRPA導入支援を予算化し、RPAを導入する自治体は増えてきています。
今回は現在の自治体のRPAの導入状況や、自治体におけるRPAで自動化できる業務内容について解説いたします。
RPA導入のよくある課題やその解決方法、導入事例なども紹介いたしますので、RPAの導入を検討中の方は、ぜひご一読ください。
自治体のRPAの導入状況
RPA(Robotic Process Automation)とは、パソコンで行っている定型作業を自動化するツールのことです。人材不足が加速している現在、地方自治体では、RPAの導入が進んでいます。
ここでは、総務省が発表している調査や、「自治体におけるRPA導入ガイドブック」から、自治体のRPAの導入状況をご紹介いたします。
都道府県・指定都市では91%
令和4年に発表された総務省の調査によると、RPAを導入している都道府県は91%、指定都市では95%となっています。
時系列でみても、急速にRPAの導入は進んでおり、導入がまだ済んでいない都道府県・指定都市でも導入検討中、または実証中であることから、現在はほとんどの都道府県・指定都市でRPAが導入されています。
その他市区町村では29%にとどまっている
一方で、その他市区町村ではRPAを導入している団体が29%にとどまっています。ただし、導入を検討している市区町村は多く、「実証中」「導入予定」「導入検討中」を含めると、半数以上の団体がRPAをすでに導入・または現在導入を検討しています。
人口10万人未満の団体においても、複数の業務でRPAを導入することによって、2000時間を超える導入効果が得られたという結果も出ているため、今後人口の少ない市区町村でも、RPAの導入は増加していくことが予想されます。
RPAの導入で自動化できる自治体の業務の一例
では、自治体でRPAを導入するとどうなるのでしょうか?
RPAの導入で自動化できる自治体業務の一例をご紹介いたします。地方自治体では、「財政・会計・財務」「児童福祉・子育て」「健康・医療」での導入が多いため、こちらの3つを中心に解説していきます。
財政・会計・財務
地方自治体の財政・会計・財務の部門では、以下のような業務でRPAが導入されています。
- 予算編成:査定結果の入力、整合性確認
- 予算管理:配当、収支計画の作成、執行状況の集計・確認
- 歳出管理:契約管理、市場価格調査、債権者登録、支出帳票の作成
- 歳入管理:収入調定書の作成、納入通知書の作成、還付命令書の作成
- 公会計システムへの入力
- 監査調書の作成
具体的にいうと、業務システムなどから出力されたリストを、RPAが財務会計システムに転記、登録を行う、などのことがRPAで自動化できます。
会計システムなどへの入力作業は、集中力が必要になり、ミスが許されない業務のため、職員へのストレスも増加してしまいます。このような定型業務を自動化することで、働き方改革にもつながるでしょう。
児童福祉・子育て
児童福祉・子育ての部門では、以下のような業務がRPAで自動化されています。
- 認定:手当認定請求書の入力、所得情報の入力
- 額改定:手当額改定届の入力
- 現況届:手当現況届の入力
- 資格管理:医療証交付申請書の入力、所得情報の入力、医療証再交付
- 就学援助:就学援助費受給申請書の入力、課税状況等の調査
- 育英資金:育英資金交付申請書の入力
例えば、紙での申請書を受領し、システムに登録済みの情報から、申請の要件を満たすかを審査し、要件を満たす申請書の内容をシステムに入力、システムの情報と申請書の内容を突合確認し、通知書を申請者に交付するといった一連の流れを自動化することができます。
手書きの申請書などは、AI-OCRなどとRPAを連携させることで、すぐに電子化が可能で、作業効率を格段に上げることができるでしょう。
健康・医療
健康・医療の分野では、以下のような業務をRPAで自動化することができます。
- 資格管理:第1号・第3号被保険者資格喪失者一覧表の入力
- 免除管理:免除申請書の入力
- 生活保護申請書の入力
- 医療要否意見書の対象管理
- 訪問実績の管理
- 保護費支給額の確認
東京都狛江市では、国民健康保険のレセプトの点検にAIを活用し、点検結果の入力作業をRPAで自動化させることに成功しています。
RPAの導入前は情報を登録する作業では20時間~22時間程かかっていた業務が、約5分で完了するなど、大幅な時間削減に繋がったようです。
自治体のRPAの導入に向けた課題
自治体で進んでいるRPA導入ですが、もちろん課題も存在します。
ここでは、自治体のRPAの導入に向けた課題について、以下の4つを紹介いたします。
- 取り組むための人材不足
- コストがかかる
- 導入効果が不明
- 何から取り組めばいいかわからない
一つずつ詳しく解説いたします。
取り組むための人材不足
総務省のアンケート調査で、地方自治体のRPA導入に向けた課題で一番多かった回答が、「取り組むための人材がいない又は不足している」というものです。
950件以上の団体が人材不足と回答しています。
コストがかかる
RPAの導入には、必ずコストがかかってきてしまいます。特に、人口の多い自治体などではRPAの導入が大規模になりがちなので、コストもかさむでしょう。
現在はクラウドサービスの普及や、低単価で導入できるRPAも増えてきているため、従来よりもコストも減ってきています。ただし、RPAベンダーの数も増えてきていることや、導入コストの他にランニングコストもかかってきますので、導入前のコストの試算や導入ツールの選定が大切になってきます。
導入効果が不明
RPAを導入したところで、どのような効果が得られるかが不明確であることも、課題の一つです。
「どのような業務が自動化できるのかわからない」「業務を自動化することでのメリットがわからない」という方は、一度「自治体におけるRPA導入ガイドブック」などで事例や導入効果を確認することが大切になってくるでしょう。
アシロボでも、自治体・官公庁での事例がございます。詳しい事例は以下のページよりご確認いただけます。
何から取り組めばいいかわからない
RPAを導入する際、何から取り組めばいいのかわからないというのも課題の一つです。
「自治体におけるRPA導入ガイドブック」では、RPA導入の全体像を以下のように捉えています。
何から取り組めばいいか悩んでいる方は、まずは導入前の情報収集を行い、導入目的の明確化から初めていくと良いでしょう。
また、最初から大規模な自動化をすすめるのではなく、スモールスタートさせることも大切です。
RPA導入の流れは、こちらの記事でも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
自治体のRPA導入の課題解決方法
上記では自治体のRPA導入の課題をご紹介いたしましたが、その具体的な解決方法について紹介いたします。
現場で使えるRPAを選定する
人材不足であることの解決としては、実際に実務を行っている現場の職員が使えるRPAを導入することが大切です。
RPAには、自動化させるためにシナリオという業務のプロセスを示した業務手順書のようなものを作成する必要があります。
シナリオ作成は、
- 画面操作記録型(簡易型)
- コーディング型(開発型)
の2つがあり、簡易型のほうはプログラミング知識を持っていなくてもシナリオ作成が可能ですので、現場でも使いやすいでしょう。
令和元年の総務省の調査では、都道府県・指定都市ではシナリオ作成を現場で作成していることが4割以上となっています。
参考:地方自治体におけるAI・RPAの 実証実験・導入状況等調査
シナリオ作成については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
コストの低いRPAを選定する
RPAの費用は毎月定額で費用が発生する料金体系が多いです。そのため、コストが高くならないようコストの低いRPAを選定することもポイントになります。
RPAは、
- デスクトップ型
- サーバー型
- クラウド型
の3つの種類に分けられます。
そのうち、コストが低いのはデスクトップ型とクラウド型のRPAです。
デスクトップ型は月額5万円程度から導入が可能ですので、スモールスタートには最適です。
アシロボは、月額5万円から導入可能なデスクトップ型RPAです。自治体・官公庁での導入事例もありますので、自治体でのRPA導入でお悩みの際は、ぜひご相談ください。
導入前説明会など、ベンダーのサポートを利用する
何から取り組めばいいかわからない、導入効果がわからないという場合は、デモンストレーションなど、ベンダーのサポートを活用しましょう。
RPAベンダーでは、導入前にどのような業務が自動化できるのかの説明や、操作方法の解説などを行ってくれることも多いです。そのため、導入後の運用方法がイメージしやすく、導入をより具体的に考えられるようになるでしょう。
アシロボでは、導入前相談会を行っています。自動化したい業務がRPA化できるかどうか、操作したいシステムをアシロボで動かせるかどうか等、契約前にご相談いただけます。、是非ご参加ください。
導入目的を明確にする
RPAは、導入して終わりではありません。業務の自動化をすすめ、業務効率化や働き方改革を行うのが最終の目標です。
そのため、まずは導入目的を明確にすることが大切です。まずはどのような業務がボトルネックになっているのかを探し、定型業務で、かつ単純な作業を自動化することができないか探してみましょう。
自治体でのRPA導入事例
では、実際にRPAを導入した自治体の事例をご紹介いたします。
自治体でのRPA導入事例は、自治体におけるRPA導入ガイドブックを参考にしています。
静岡県藤枝市
静岡県藤枝市は、亡くなられた方のご遺族が行う手続きをワンストップで実施できる「ご遺族手続き支援コーナー」を令和元年から開設しました。しかし、亡くなられた方の手続きに必要な情報を集約するためには、様々な業務担当課の職員が関わって作業をする必要がありました。
そこで、RPAを導入し、予約受付からシステムからの検索・参照、転記、確認・補完、申請書類作成までの一連の業務を自動化させることにしました。
RPAを導入したことにより、業務時間を80%削減できるようになり、資料作成業務を自動化することで、職員は窓口業務に集中でき、業務時間の有効活用ができるようになるなど、多くの効果があったようです。
兵庫県伊丹市
兵庫県伊丹市では、個人住民税に関わる入力・審査の業務をRPAで自動化させました。具体的には、Excelから基幹系システムへの転記、システムから審査用のExcelへ転記するといった業務をRPAにすることで、繫忙期の忙しさを緩和することができています。
このほか、計21の業務で年間830時間の削減につながりました。基幹系システムの更新権限を持たない社員でも入力用のデータを作成できるため、業務負担の分散が可能になったようです。
愛知県阿久比市
愛知県阿久比市では、固定資産税に関わる登記異動情報の入力などにRPAを導入しました。
登記異動情報の入力は、紙で帳票を受領し、事由ごとに仕分け、手入力でシステムに転記を行っていました。
RPA導入後は、紙媒体での受領をやめ、CSV形式での受領に変更しました。CSVデータを元にRPAがデータの並べ替えを行い、システムに転記し、そのあとは目視での確認をするという流れにすることで、事由ごとに仕分ける業務や転記業務を自動化することに成功しました。
自治体でのRPA導入ならアシロボにお任せください
自治体でのRPAの導入事例をご紹介いたしました。
アシロボでも、自治体・官公庁での導入事例があり、使いやすさ・価格だけではなく、セキュリティ面でも評価されています。
ここでは、アシロボの特徴についてご紹介いたします。
自治体での導入実績がございます
アシロボは、自治体での導入実績がございます。
ある自治体(約80万世帯)では、住民から申請のあった奨学支援金申請を保護者情報管理システムよりダウンロードし、課内で作成したマクロにインポート後、データを変換。次に別システムにデータをインポートし、編集・加工を行った後、エクスポートを行う。といった一連の業務を自動化させました。
この業務は、4月・7月に超繁忙となる業務で、該当月は担当職員が残業をして対応していました。アシロボでRPA化出来たことで、残業時間の削減、心理的負担の払拭にもつながりました。
現場でも使える簡単な操作感
アシロボは、画面操作記録型でシナリオ作成ができるため、プログラミング知識や難しいフロー図などは必要ありません。
そのため、現場でシナリオ作成から修正・管理ができます。シナリオ作成のサポートや、無料の操作説明会も行っているため、プログラミングやマクロの知識がない方でも、7時間で実践レベルに育成することが可能です。
月5万円から使用できる低価格
アシロボは業界最安値クラスの月5万円から導入が可能です。
アシロボ1契約で、時給34円のスタッフが2名入社するイメージで使用できるので、1部署につき1台で充分にカバーができます。
導入前~導入後までサポートいたします
「どのような業務が自動化にむいているの?」「この部署の業務は自動化できる?」 などの、導入前のお悩みも、導入前セミナーでサポートいたします。
導入後のアフターフォローも充実しています。いつでも、何度でも相談は無料です。シナリオ作成に迷ったら、サンプルのダウンロードも可能ですので、安心してご利用いただけます。
まとめ
自治体では、RPAの導入が進んでいます。
RPAを導入することで、「財政・会計・財務」「児童福祉・子育て」「健康・医療」などの業務を自動化することができ、多くの業務の時間削減に繋がっています。
ですが、人材不足やコスト、導入効果が分かりにくいことから、人口の少ない自治体では導入が30%程度に留まっているのが現状です。
アシロボでは、現場で使える簡単操作のRPAです。導入前説明会や導入後のアフターフォローも充実しているため、人手不足でお悩みの自治体でも、安心してご利用いただけます。また、コストも月5万円からと非常にリーズナブルなので、自治体でRPAの導入をお考えなら、ぜひ一度ご相談ください。