RPAの国内シェア率は?市場規模の拡大理由や導入のメリット
概要
近年、大手企業を中心にRPAを導入している企業が増えてきています。
そのため、自社でもRPAを導入しようと考えている企業は多いのではないでしょうか。
しかし、国内における現在のシェア率はどれくらいなのか、世界ではどの程度普及しているのかが気になる方も多いでしょう。
この記事では、国内シェア率をはじめ、市場規模が広がってる理由や導入する際のメリット、RPAを選ぶポイントなどを解説します。
RPAの国内シェア率は?
欧米をはじめ、世界各国で導入が進んでいるRPAですが、日本国内におけるシェア率はどうなってるのでしょうか。
株式会社MM総研が市場調査を行ったデータをもとに、国内の導入状況について解説します。
参考:RPA国内利用動向調査 2022(2022年9月時点) « 市場分析レポート | 株式会社MM総研
大・中規模の企業では37%が導入している
株式会社MM総研が調査した「RPA国内利用動向調査2021(2021年1月調査)」によると、年商50億円以上の大手企業・中規模企業では、RPA導入率が37%となっており、約4割の企業が導入していることが分かります。
前回調査した2019年11月からそれほど大きな変化はなく、その主な要因として新型コロナウイルス感染症の影響が挙げられます。
新型コロナウイルス感染症の影響下で企業は、Web会議をはじめ、グループウェアやネットワーク再構築など、在宅勤務の環境に注力していました。
その結果、新規導入した企業数は増えなかったと考えられますが、昨今では在宅勤務の環境が整いつつあります。
そのため、2022年度には再び多くの企業でRPAを導入することが想定されており、国内シェア率が50%になるといわれています。
参考:RPA導入企業が活用を本格化、AI-OCR導入も約2割
年商50億未満の中小企業は10%と格差は広がっている
一方、年商50億円未満の中小企業では、導入率10%と、大手企業・中規模企業と大きな差があることが見られます。
その要因として、中小企業は予算問題や担当者確保といったRPAを導入する環境が整っていないということが考えられます。
しかし、現在準備・検討中の企業が25%いることや、以前に比べるとRPAが簡易化していたり、導入事例が増えたこと、価格が安価になってきていることから、今後の普及は大いに期待できるでしょう。
DX投資促進税制などでRPAの導入は加速することが予想される
上述でも伝えた通り、現代ではクラウド型RPAといった低価格で利用できるRPAツールや、プログラミング知識が不要で使用できるRPAツールなどが増えてきており、以前に比べると導入がしやすい環境にあります。
また、2021年に政府から企業のDX推進を図るべく、クラウド技術を活用したデジタル関連投資について税額控除や特別償却を行う「DX投資促進税制」という制度が創設されました。
これらが後押しとなり、今後のRPAの導入が加速することが予想されます。
さらに、以前から運用されている「IT導入補助金」なども、2022年からクラウド利用料も対象になったことから、今後も導入率は向上していくことが予想されます。
RPAの世界シェアは?
国内のシェア率を見てきましたが、世界でのシェア率はどのようになっているのでしょうか。
米コンサルティング会社のマッキンゼーアンドカンパニーによると、全世界で1億人以上のホワイトカラー労働者、または全体の仕事量の1/3が、2025年までにRPAに置き換わると予想されており、そのくらい世界でRPAの導入が進んでいくと考えられています。
全世界で見た市場規模は、ガートナーの調査によると2020年の売上高は15.8億ドル(日本円にして約2,060億円)であることが分かっており、二桁の成長率で拡大していくことが予想されています。
参考:ガートナー、世界におけるRPAソフトウェアの売上高が2021年には20億ドル近くに達する見通しを発表
このように日本国内だけでなく、世界においてもRPA市場は成長し続けているといえるでしょう。
RPAの市場規模が広がっている理由
RPAの市場規模が拡大していくことが予想されていると伝えましたが、その背景にはどのようなものがあるのか、気になる方も多いでしょう。
ここでは、市場規模が広がっている4つの理由を具体的に解説します。
コロナによるワークスタイルの変化
近年問題視されている新型コロナウイルス感染症の拡大により、ワークスタイルが変化したことが挙げられます。
以前までは多くの企業がオフィスで業務を進めていましたが、新型コロナウイルス感染症流行以降はテレワークの導入をする企業が多くなりました。
RPAは、種類や設定などによって異なりますがテレワークの環境下でも利用でき、RPAにシナリオを設定しておくことで出社せずに決まった業務を自動化してくれます。
また、クラウド型RPAは、ブラウザを開くだけで利用ができるなど、RPAはテレワークでも活用しやすいため、普及が進んでいるといえます。
低価格RPAの増加
RPAにはさまざまな種類があり、機能性や利便性は多種多様です。
ただし、エンジニア向けのカスタマイズが可能なRPAを運用したり、社内にサーバーを設置するとなると、数十万〜数百万円の費用がかかることがあり、企業によっては手が出しにくいツールでした。
しかし、近年ではクラウドサービスの発達などによって低価格のRPAが増加傾向にあり、中小企業でも導入がしやすくなっています。
また、1台から導入できるものや、プログラマー不要で使用できる簡易型のもの、低価格で中小企業でも使いやすいRPAも増えてきていますので、自社に合ったRPAを選び安くなったのも、RPAが普及した理由の1つです。
政府によるデジタル化の推進
上記でも伝えた通り、2021年より政府によるデジタル化の推進が行われています。
政府が創設したDX投資促進税制制度により、企業はクラウドを基本としたシステム投資や自動化の活用をさらに広げるきっかけになっています。
税額控除や特別償却を受けられるといった企業にとってのメリットがあり、こうした取り組みの影響でRPAの導入拡大につながっているといえるでしょう。
AI連携が可能に
AI技術の発展によって、RPAツールはAIと連携し、より複雑な業務も自動化することが可能になってきています。
RPAは、業務を自動化してくれるのはもちろんですが、AIと連携することで社内の膨大なビックデータを分析し、経営に関する意思決定を行うこともできます。
また、これまで手書きでの書類をデータに落とし込んだりする作業は人間の手でおこなわれていましたが、文字分析のAIとRPAを組み合わせることによって、より業務が効率的になるという使われ方も増えてきています。
AIの業務とRPAの業務を組み合わせ、より効率的に業務を進められるようになったことが、市場規模の広がりの要因の1つとして考えられます。
RPA導入のメリット
企業がRPAを導入することで、実際にどのようなメリットがあるのでしょうか。
RPAを導入することで得られるメリットは大きく5つあります。
下記にて、具体的なメリットについて解説します。
生産性の向上
1つ目のメリットとして、生産性の向上が挙げられます。
RPAを導入することで、簡単な作業やあらかじめ手順が決まっている作業を人が行うよりも早く処理することができ、作業効率アップにつながるでしょう。
また、これまで人間が行っていた単純作業から開放されることにより、よりクリエイティブなコア業務に集中することが可能になります。
さらに、RPAを導入する際には業務内容の洗い出しが必要ですが、そのときに業務内容を見直すことができるため、無駄な作業や重複している作業に気づくことができ、結果的に生産性向上になるといえます。
ヒューマンエラーの防止
2つ目のメリットは、ヒューマンエラーを防げるということが挙げられます。
人というのは、長時間の単純な作業や神経を使う細かい作業が続くと集中力が切れてしまい、どうしてもミスをしてしまうものです。
仮に作業に慣れている社員だったとしても、ヒューマンエラーをなくすということは難しいものでしょう。
しかし、RPAを導入することであらかじめ作成されたシナリオ通りに業務が自動化されるため、ヒューマンエラーによるミスを無くすことができます。
また、人よりも早く業務を処理でき、長時間稼働させたとしてもミスが起こることはないため、安心して任せられるでしょう。
よりクリエイティブなコア業務に注力できる
3つ目のメリットとして、コア業務に注力できるということが挙げられます。
業務のなかには、RPAに任せることができず、人にしかできない業務も多いはずです。ですが、単純作業に追われてしまい、なかなかコア業務に時間が割けないという企業や部署も多いのが事実です。
単純な作業や繰り返しの作業をRPAで自動化することで、人にしかできないクリエイティブなコア業務を進めることができるでしょう。
働き方改革の推進につながる
4つ目のメリットとして、働き方改革の推進につながるということが挙げられます。
RPAが業務を対応することで、社員一人一人が抱える業務量が減り、残業や休日出勤を減らすことが可能です。
それによって、有給休暇の取得率も向上し、従業員のワークライフバランスの改善にもつながるでしょう。
コスト削減につながる
5つ目のメリットとして、RPAを導入することで業務の自動化が可能となり、人件費をはじめとしたコストを多く削減することが挙げられます。
シナリオ作成をしっかりと行えば、業務を正確に遂行してくれますし、残業代、休日出勤・夜勤出勤手当、福利厚生費、コミュニケーションコストも不要です。
単純作業を行う為に、臨時で派遣社員を採用している場合は、採用コストや教育コストも削減できるでしょう。
効果的にRPAを導入することができれば、運用コストを考慮したとしても、費用対効果は高いといえます。
RPA製品の選び方
ここまで、RPAを導入した際の主なメリットを5つ紹介しました。
生産性向上をはじめ、企業と従業員の双方により良い環境づくりにも大きく貢献できることが分かります。
しかし、RPAツールは様々なため、どのようにRPAを選べば良いか分からないということも少なくありません。
RPAを選ぶ際には、以下のポイントをおさえて選ぶと良いでしょう。
価格
以前では、RPAを導入する際に初期費用を含め、高額な利用費が必要である場合がほとんどでした。
運用するRPAによっては数百万円かかることもあり、企業によっては導入できないということもあります。
しかし、近年では初期費用が不要なRPAや低価格で利用できるRPAがあるなど、さまざまな種類があります。
RPAを提供しているベンダーによって料金形態や価格は異なるため、事前にしっかりと確認するようにしましょう。
サポート体制
価格に加え、サポート体制が充実しているかどうかも大切なポイントです。
RPAの導入にはどうしても時間と手間がかかってしまうものであり、シナリオ作成をはじめ、導入後もメンテナンスや改善などは欠かさずに行う必要があります。
その際、基本的にはベンダーからのサポートを受けるのですが、ベンダーによっては各種サポートに別途料金がかかってくることもあるため、注意が必要です。
RPAベンダーではどのようなサポートが受けられるのかも選ぶ際には必ず確認しておきましょう。
使いやすさ
RPAは、基本的には幅広い社員が利用することになりますが、人によってはプログラムやツールを使いこなすことに不安が残る方もいるでしょう。
そのような方でも問題なく利用できるようなシンプルで操作がしやすいRPAツールを選ぶと良いでしょう。
また、使用しやすいRPAの方が社内に浸透しやすく、幅広い業務での自動化が進みやすくなります。
自社の規模に適しているか
RPAを活用する際、活用したい目的と自動化したい業務をあらかじめ明確にしておくことも大切です。
そういった部分を具体的に洗い出すことで、自社にはどの規模のRPAが適しているかが分かるようになります。
また、RPAにはデスクトップ型・サーバー型・クラウド型など、規模に合わせて種類を選ぶ必要があります。
自社の規模に適したRPAツールを選定したあとは、試しにトライアルなどを活用してみることもおすすめします。
RPAの種類や比較方法については、以下のページでも詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
RPAツールの比較方法7選。メリット・選び方と主要ツール比較表
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RPAは種類によっては数十万円〜数百万円の費用がかかってきます。
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まとめ
RPAの国内シェアをはじめ、世界シェアや市場規模が拡大している理由などについて解説してきました。
生産性向上や人為的ミスやコストの削減、働き方改革の推進など、さまざまなメリットがあるRPAは今後も普及していくことが予想できます。
また、近年では低価格のRPAなどを筆頭にさまざまなRPAツールがあるため、中小企業でも導入がしやすくなっています。
これまでの解説を踏まえ、企業と従業員の双方のためにも、自社に合ったRPAを導入してみてはいかがでしょうか。