中小企業のDX推進の現状|課題とその解決方法・成功させるコツについて
概要
日本の中小企業においてDXを進めている企業は2割ほど。コストの負担や人材不足がネックとなりがちなDXですが、競争力の強化や人材確保など、DXのメリットは計り知れません。中小企業におけるDXの現状とメリットやデメリット、おすすめのRPAツールなどについて紹介します。
DXの定義とは
経済産業省により発表された「デジタルガバナンス・コード」(旧DX推進ガイドライン)では、DXに関して、以下を定義としています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
業務のペーパーレス化・デジタル化に対応しつつ、ビジネスや組織を改革し、競争力の向上を測ることがDXとされています。
弊社アシロボが提供しているRPAも、デジタル技術を活用したロボットによる業務効率化を図る点では、DXと密接に関わっています。
RPAはDXを推進していく上での1つの手段であり、RPAを導入することでDXを推進することが可能です。
デジタル化との違い
DXと似た言葉として、「デジタル化」があります。
DXに関連するデジタル化には、
- 紙の書類をデジタル化(ペーパーレス化)させる「デジタイゼーション」
- サービスや業務プロセスをデジタル化する「デジタライゼーション」
の2種類があります。
これらは、上記のDXの定義と当てはめると、「ビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用する」部分にあたります。
そのため、単に業務をデジタル化するのみでは、DXが実現できたとは言えません。
デジタル化は、DXの基礎となる部分であり、デジタル化を推進し、新たなサービス・ビジネスモデル、組織を変革し、競争上の優位性を確立することで初めてDXが実現できたといえるでしょう。
そのため、DXの推進の際には、自社の取り組みが「デジタル化」が目標になっていないかどうかを確認しておく必要があります。
中小企業のDX推進の現状とは
DXという言葉が生まれて久しい最近では、大企業のみならず中小企業でもDXに取り組む必要性が指摘されています。しかしながら、中小企業のDXに対する取り組み度合いは企業によってまちまちなのが現状です。日本の中小企業におけるDX化の現状について、DXに取り組んでいる企業の割合などのデータを交えながら詳しく紹介します。
中小企業がDXに取り組んでいる割合
中小企業基盤整備機構が2022年に行った調査『中小企業のDX推進に関する調査』によると、DXの推進や検討に着手している企業は7.9%となっています。
中小企業個人情報セキュリティー推進協会が2021年に行った『「大手企業におけるDX推進」の実態調査アンケート』では、大手企業は82.9%が社内でDXに取り組んでいるという結果が出ています。
DXへリソースを割きやすい大企業と比較すると中小企業のDX化はあまり進んでおらず、中小企業でなかなかDXが浸透していない現状が浮かび上がっています。
中小企業の具体的な取組内容に関する質問では、「ホームページの作成を行っている」と答えた企業がDXに取り組む中小企業のうちの5割ほどとなっていました。営業活動や会議のオンライン化、顧客データの一元管理なども4割ほどの企業で取り組まれていますが、全体ベースで見るとまだまだDXが浸透する余地は残っています。
中小企業がDXに期待している効果とは
中小企業のうちDXへ取り組んでいる企業は7.9%という結果でしたが、実際にDXへ取り組んでいる中小企業は何を期待してDXへ取り組んでいるのでしょうか。こちらについては、中小機構が実施した同アンケートによれば「業務の効率化」が6割を占めていました。さらに、「コストの削減」も5割を占めており、旧態依然の組織から脱却した効率的な組織づくりに期待が寄せられていると言えます。
一方で「新製品・新サービスの創出」「顧客接点の強化」といった回答はそれぞれ1割ほどと低くなっており、まだまだ見逃されているDXの利点があると言えそうです。
参考:中小企業の DX 推進に関する調査 独立行政法人 中小企業基盤整備機構
中小企業こそDXが必要な理由
DXには様々なメリットがありますが、大企業と比較してリソースを割きにくい中小企業にとってDXを推進することは大変なことです。中にはデジタル技術に関心を持つ余裕がなく、DXを推進することでかえって業務効率が落ちてしまうのではないかと心配している中小企業も少なくありません。それでは、なぜ中小企業にこそDXが求められているのでしょうか。中小企業にDXが効果的な理由を4つ紹介します。
生産性の向上につながる
第一に、DXは生産性の向上に直結するというメリットがあります。例えばこれまで書類で管理していた情報をデジタル化するだけでも、書類を探したりハンコを押したりする手間が省ける、といったメリットがあります。作業時間が単純に短縮できるというのは大きなメリットです。
他にも、例えばこれまで実地で実施していた会議をオンライン化することで、移動の手間を削減することができる、リモートワークを推進することで通勤時間を削減することができるといった利点が挙げられます。リソースが限られている中小企業だからこそ、効率的な働き方を推進していきたいものです。
人材の流出防止につながる
DXを進める利点として、人材の流出防止につながるという点も挙げられます。最近では大企業のみならず、一部の中小企業の中でも先陣を切ってDXへ踏み切る企業が増えてきました。
そのようななかで、例えばAI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングス)といったDXに強い優秀な人材はDXが進んだ企業へと流れてしまいます。移り変わりの早い技術を活用することでステップアップを図る優秀なDX人材をつなぎとめておくためには、中小企業においてもDXを進めることが欠かせません。人材の流出防止という観点においても、DXは重要性を増しています。
企業競争力の確保につながる
最近では、顧客の購買データや過去の商談記録など、様々なデータがマーケティングへ活用されるようになってきました。サービスや製品はもちろん、顧客自身の好みがますます多様化するなかで、マーケティング活動はこれまで以上に重要性を帯びています。
そのため、これからは中小企業でも顧客の購買データを活用する等、AIで未来を予測するDXの技術が欠かせません。さらに、DXを進めることで新商品や新サービスの開発をこれまで以上に効果的に、他社に先んじた事業展開を行うことができます。企業競争力の確保という観点からも、DXは重要なのです。
業務の属人化を防げる
営業やマーケティングなど様々な部門で、「この人がいないと仕事が回らない」といったエース級の社員がいる部署は少なくありません。もちろん他者に抜きん出て優秀なエース級の社員が在籍していることは悪いことではありませんが、優秀な一部の社員のみに頼ってしまうようなチームになってしまうのは問題です。
優秀な社員が退職してしまった、というような万が一の事態に備え、それぞれの部署は業務の属人化を防いでおく必要があります。業務を誰でも取り組みやすいものにするDXは、そのような観点からも重要なのです。
中小企業のDXが進まない理由・課題とその解決法
ここまで、DXのメリットについて紹介してきました。業務効率の改善はもちろん、マーケティングなどの新たなビジネス機会創出や属人化の防止といった観点からも、DXは中小企業にとって非常に重要な取り組みです。しかし、冒頭に紹介したように中小企業におけるDXの取り組み率は2割前後なのが現状。中小企業においてDXが進まない理由や課題、さらにそれらの解決法について解説します。
人材不足
中小企業においてDXが進まない最大の理由は、人材不足です。DXを進めるためにはある程度のITリテラシーが必要とされますが、中小企業の中にはITに強い人材を雇う余裕がない、といったケースも少なくありません。また、自社エンジニアを抱えている企業においても、エンジニアへの負担集中を理由にDXを断念するというケースも目立っています。
そのような環境でDXを推進するためには、まず社員全体のITリテラシーの底上げを図るために研修やセミナーの実施を検討しましょう。最近ではDXのサポートを専門で行う企業もあるため、社内のDXを外部委託するというのも一つの手です。
具体的な成果が見えない
DXは多くの場面で業務を効率化してくれますが、DXをしたこと自体で直接目に見える利益が生まれる、ということは多くありません。DXを通した業務効率化や顧客ロイヤリティの向上によって徐々に効果を実感する、というケースもあります。そのため、すぐに具体的な成果が見えないことを理由にDXを敬遠してしまう中小企業が多く存在しています。
このような事態を打開するためには、定量的な目標設定や効果測定を行うことで、効果をなるべく実感しやすい環境を作ることが重要です。DX化によるメリットが目に見えて分かりやすくなることで、社員のDXに対するモチベーションも高めることができます。
経営層がDXの必要性を感じていない
中小企業の中でもよく見られるケースとして、決定権を持つ経営層がDXの必要性を感じていない、というものが挙げられます。経営層はいわゆるその道のプロフェッショナルであることが多く、勘や長年の経験といったセンスを重視する傾向が強いです。そのため、誰にでも親しみやすいものを目指すDXに対して必要性を感じず、予算や人的リソースを割けない、というケースが後をたたないのです。
このような場合は、まず社員と経営層が同じ視点を持って業務に取り組むための社内改革を進める必要があります。社員と経営層の間でのコミュニケーションの密度を深めるなど、現場と経営層の足並みを揃える取り組みが重要です。
予算の確保が難しい
DX推進のためには、AIを活用した様々なツールや、ネット上のサービスを導入する必要があります。中には年間で数百万円から数千万円以上のライセンス料が必要なサービスも多く、中小企業が活用するにはハードルが高いと感じてしまう企業が少なくありません。コストの発生を理由にDXを先送りしてしまうケースも、実はかなり多いです。
予算の確保が難しい場合は、まずは無料で利用できるツールや少額で利用できるツールの活用を進めましょう。最近では無料版であっても高額なものに劣らない機能を誇るサービスも少なくありません。まずは無理のない範囲で、小規模なDXを進めることが効果的です。
中小企業が利用できるDX化のための補助金を利用する
予算の確保が難しい場合は、政府や自治体が用意しているDXに向けた補助金を活用するという手もあります。実際、経済産業省は2020年に「AI人材連携による中小企業課題解決促進事業」を打ち出すなど中小企業のDXに積極的な方針を見せています。また、中小企業庁では、設備投資、販路開拓、ITの導入等を補助するなど、中小企業等の生産性向上に資する継続的な支援である「中小企業生産性革命推進事業」において令和3年度に約2,000億円の予算を計上しています。
参考:中小企業庁関係 令和3年度補正予算のポイント
今後も各省庁や自治体を中心に補助金が出されることが予想されるため、中小企業が利用できるDXのための補助金をチェックしておきましょう。
中小企業におけるDX化の流れ
中小企業におけるDXと大企業におけるDXは、大まかな流れは同じです。しかし、中小企業のほうが小規模な取り組みから始めるケースが多く、大企業のやり方をそのまま踏襲したのでは上手く行かない場合も多々あります。中小企業において実際にDXを進める際の流れについて、4つのステップに分けて紹介します。
DX化の目的を明確にする
中小企業においてDX化を進める場合、まずはDXの目的を明確化することが必要です。中小企業の中には、ITに対する専門知識がほとんどなく、DXという言葉が実際に何を意味しているのかよくわからない社員も少なくありません。
具体的な取組内容について検討する際には、「紙でのやり取りを減らす」「ハンコを削減し、社員の負担を軽減する」「新しいサービスで、新規のビジネスモデルを作る」といった、DXを推進する目的をまずは明確にするとよいでしょう。DXのゴールを定めることで、具体的に何に取り組めばよいのかも見えてきます。
まずはペーパーレス化・デジタル化から始める
DX化をするためには、段階を踏んでいくことが大切です。今までの業務内容では、DX化をどのように進めれば良いか分からない、という企業の方も多いでしょう。
そこで、まずはリモートワークの推進やペーパーレス化、ロボットを使用した業務の自動化などから始めて行くことをおすすめします。
リソースが限られている中小企業の場合、まずは取り組みやすいペーパーレス化から行うのがおすすめです。ペーパーレス化を行うことで、リモート会議の実施や在宅勤務の推進といった、次なるDXのステップへ進む土台を作ることができます。
業務フローを洗い出し、削減できる業務を見つける
社内にペーパーレス化が浸透したら、次はRPAなどのデジタル技術によって業務フローを改善できないか検討してみましょう。
時間がかかっていた単純作業や、通常業務の足かせとなっていた業務を自動化することで、新しいサービスの考案や、人が行うべきコア業務に注力することが可能になります。
RPAを運用するだけではDXに成功したとは言えません。DXを成功させるためには、業務を自動化することによって、コア業務に注力し、ビジネス・組織の変革につなげていくことが必要となってきます。
空いた時間を利用して、ビジネスモデルの変革を行う
業務を自動化することができ、コア業務に注力することができるような土台が作れたら、最終段階としてビジネスモデルの変革を目指します。
業務を自動化することによって、作業の詳細が見える化し、無駄だった作業や改善すべき業務が分かるようになります。また、顧客データを一元管理することによって、属人化していた業務や、長年の勘や経験に頼ったやり方ではなく、データを活用することで新たなビジネスモデルを作ることも可能になるでしょう。
DX化には、取り組むべき課題を整理したうえで、デジタル化によりデータの収集・無駄な業務の自動化を進め、新しいやり方を模索していくことが大切です。
アシロボは中小企業のDX化を支援します
アシロボは、社内で発生する様々な単純作業を効率化してくれるRPAツールです。RPAツールとは、パソコンを利用して行う業務を自動化できるツールのことで、最近はデジタル化の重要な要素として注目を浴びているキーワードです。
RPAを利用することで、人はコア業務に注力することができます。アシロボは、DX化の土壌を作る第一歩として、中小企業のDX化を支援いたします。
導入前相談を無料で行っています
RPAツールといってもその種類は豊富であり、高額なものから低額なものまで多くのベンダーから多種多様なツールが販売されています。RPAツールの導入を検討する中小企業の中には、どのRPAツールを導入すればよいのかわからず、迷ってしまう場合も少なくありません。
アシロボでは、より効果的なRPAツールの導入をサポートするため、導入前の相談を実施しています。導入前診断は全て無料で行えるのもアシロボならではのメリットです。
RPAに関するセミナーも開催中
RPAツールはプログラミングの知識が必要ないものがほとんどで、比較的とっつきやすいものが多いと言われています。しかし、中小企業の場合は社内にエンジニアが在籍していないケースも多く、ITリテラシーに不安を抱えている企業も少なくありません。
そのような企業でも安心してアシロボを活用できるよう、アシロボでは毎日RPAに関する研修を開催しています。Excel操作やWeb操作などに特化した研修など実践的な内容を用意しているため、自社にとって本当に必要なスキルを身につけることが可能です。
プログラミング経験が無くても容易に利用できるRPA
RPAツールの中には、複雑なコマンド操作が必要で使いこなすのに時間がかかってしまうものも少なくありません。アシロボでは、そのような煩雑な操作を一切取り払った、使いやすいユーザーインターフェースを採用しています。プログラミング経験が一切ない社員でも数時間前後の学習で自動化を行うことが可能であり、数あるRPAの中でも最も利用しやすいRPAツールの一つとなっています。
業界最安値クラスの月5万円~利用可能
RPAツールの価格帯は幅広く、月数万円〜10万円で利用可能な手軽なツールから、月数百万円を超えるライセンス料が必要な高額なものまで多種多様なツールがあります。中小企業の場合はDXに多大なコストをかけることは難しく、出来る限り手軽にRPAツールを導入することが必要です。
中小企業とアシロボの相性がよい理由として、利用価格が月5万円からと非常に安く設定されている点が挙げられます。月々5万円で2台分の利用ができるのも、アシロボならではのポイントです。
導入時・導入後の無料サポートも充実
RPAツールを導入したあとにも、「自動化したロボットが止まってしまった」「実現したい自動化の動作が実現できない」といったトラブルを抱えてしまうケースが少なくありません。RPAツールの中には、事後サポートが優良だったり、無料であっても相談可能な枠数が設定されていたりするものが珍しくありません。
アシロボでは、導入時や導入後のサポートを無料で受けることができます。回数制限なども設定されていないため、問題が解決するまで必要なサポートを受けることが可能です。
官公庁や上場企業にも利用いただいている万全のセキュリティ体制
RPAツールを導入するときに気をつけておきたいのが、RPAツールのセキュリティ体制です。RPAツールを用いて自動化を行った結果、情報漏えいなどのセキュリティインシデントが発生してしまっては元も子もありません。
アシロボは、防衛省などの官公庁や、多くの上場企業で導入実績があります。公的機関にも信頼されるセキュリティの高さが、アシロボの売りの一つです。
中小企業のDX化の事例
DX化を推進している中小企業は2割とまだまだ限られていますが、中小企業か大企業化を問わずDX化には大きなメリットがあります。中小企業の中にも、RPAツールといった自動化ツールなどを活用してDX化に成功し、大幅な業務効率化に成功した事例は数多くあります。中小企業におけるDX化の事例について2つ、順番に見ていきましょう。
RPAで生産性の見える化に成功
首都圏において食品物流を展開している北王流通株式会社様。物流業界での働き方改革が進められる中、各拠点に蓄積されたデータをどう効率的に活用し、働き方改革につなげるかが課題でした。そこで北王流通株式会社様では、拠点から得られた労働時間・配送時間などのデータの集計や配信を行う作業を、アシロボを活用して自動化。その結果、その日の働きぶりを各ドライバーが具体的な数値で確認することができ、社員のモチベーションアップに繋がりました。データの見える化によってDXが成功した一例です。
RPAを月100時間以上活用
送風機を始めとするインフラや電気機器のメンテナンス、設計開発などを行うリーディングカンパニーでありオンセック様。東京オフィスへ出社して取り組まなければならなかったFAXなどの作業が煩雑で、テレワークへの準備を進める中で足かせとなっていました。
そこでオンセック様では、書類のデジタル化を推進し、アシロボの活用を開始。紙で管理していた書類がデジタル化されたことでテレワークが推進されたばかりか、月100時間以上の業務が全て自動化され、メール返信やサーバーへのファイル保存といった作業が全て自動化されました。誤入力も削減され、事務作業の負担が大きく軽減された事例の一つです。
まとめ
中小企業におけるDX化の現状やメリットとデメリット、さらにはおすすめのRPAツールなどについて紹介しました。DX化の重要性が指摘されて久しい昨今ですが、まだまだ中小企業においてはDX化を進める余地が残っているのが現状です。豊富なツールが展開されてきた今だからこそ、他社に先んじてDX化を推進し、業務効率化や競争力の強化などを進めていきましょう。