RPAの種類とは?「サーバ型」「インストール型」「クラウド型」のメリットとデメリット
概要
近年、デジタル化やDXの進展を背景に、大企業から中小零細企業まで、企業規模を問わずRPAを導入される企業が急速に増加しています。
一方で、RPA市場が広がると同時に、「RPAを導入したが使いこなせなかった」「費用対効果が合わない」と、失敗した、もう幻滅期だといった声も聞こえるようになりました。RPA導入後に失敗する理由は様々ありますが、まずは、肝心の導入時のミスマッチを回避すべく、初期段階での失敗を未然に防ぐためにも、RPAの種類について理解を深めておくことは大切です。
RPAには、どんな種類があるのか、どのタイプが自社に合うか分からないと悩まれる担当者も多いのではないでしょうか。RPAには大きく「サーバ型」「インストール型」「クラウド型」の3種類があり、「働く場所」の違いで分類することができます。それぞれにメリット・デメリットがあります。本記事では、種類ごとの特徴を交えて詳しく見てみます。
(1)RPAの種類|サーバ型
サーバ型は、その名のとおりRPAツールをサーバ内に設置するタイプです。
▼サーバ型のメリット
「サーバ型RPA」は、自社管理下のサーバ内で稼働します。サーバにつながる複数のパソコンからRPAツールを利用できるため、複数同時に多部門との連携が必要な作業や、大量に同時進行する業務の効率化に向いています。また、サーバ側でRPAツールを一元管理することができるため、各RPAが何をしているのか、稼働状況を把握しやすいメリットが挙げられます。
▼サーバ型のデメリット
サーバ型RPAのデメリットは、コスト面です。後述するインストール型、クラウド型に比べ、初期費用やメンテナンス費用が高額になるケースが多く、選定するRPAツールやサポート範囲にもよりますが、費用は年額数百万円~数千万円以上かかるケースもあります。
また、サーバ型のRPAは横断的な業務を得意とする反面、そういった業務をRPA化する際には、社内システム全体を把握している人材や部署が主な担当をする必要があり、その負担が大きいことに留意しておく必要があります。
▼サーバ型は大企業向き
自社サーバに構築するサーバ型RPAは、大企業向きだと言えます。サーバ内にある大量のデータをスピーディーに同時処理する業務が常時存在し、初期費用やメンテナンス費用も高額、且つ担当部署に十分な知識とリソースを要するためです。導入がオーバースペックにならないよう、きちんと効果を期待できるレベルの企業であれば、検討する価値が大いにあると思われます。
(2)RPAの種類|インストール型
インストール型はパソコン内にRPAをインストールするタイプです。デスクトップ型やRDA(Robotic Desktop Automation)と呼ばれることもあります。
▼インストール型のメリット
インストール型RPAのメリットは、まずコストが安いことです。年額100万円を切るツールも多くあり、パソコン1台から始められる準備の容易さも特徴です。またインストール型RPAは、セキュリティレベルが高く、外部への情報漏洩の可能性も低いため、その安心感も大きなメリットです。実際の使用シーンでも、大企業の現場部門や中小企業における派遣社員やアルバイトのように擬人化され、アシスタント役として業務を任せられる馴染みの良さもメリットと言えるでしょう。
▼インストール型のデメリット
インストール型RPAは、パソコン単体で始められる手軽さの反面、誰が何の作業をRPA化として引き継いだのか管理できる状態でなければ、いわゆる野良ロボ問題が発生します。そのため、シナリオ上のメモ機能に何の業務をシナリオ化しているのか、また各動作にも何の動作なのかをメモすることが肝要です。また動作完了時に上長への完了報告シナリオを加えておく等も野良ロボ回避策として良いでしょう。またはRPAに任せる業務領域が拡大した際には、複数のインストール型RPAを管理したい場合は、管理コンソールの導入なども安心運用のひとつです。
▼インストール型は大企業現場部門、中小零細企業向き
インストール型RPAは、大企業現場部門、中小零細企業向きだと言えます。費用が安く、メンテナンスも容易で、専門知識のない現場担当者でも一定期間の学習で習得可能なツールは存在します。また低額といえども豊富な動作コマンドを備えたツールも一部存在するため、セキュリティ面含め、製品選定さえ慎重に行えば、大企業現場部門、中小零細企業でのRPA化での検討価値はあるでしょう。
(3)RPAの種類|クラウド型
クラウド型RPAは、クラウド上にあるRPAツールを使用します。
▼クラウド型のメリット
自社サーバにRPAを構築することや、RPAソフトをインストールする必要がないため、お手軽かつ低コストでの導入が可能です。クラウド上にRPAツールがあるので、インターネットさえ繋がっていれば、あらゆる環境から複数名でRPAツールを操作することができます。クラウド型RPAは最新機能の追加や動作の安定化など、頻繁に自動でメンテナンスがされ、常に最新状態で使用することができます。
▼クラウド型のデメリット
クラウド型RPAは、インターネット環境がなければRPAツールが使えません。つまり、動作ができないのはもちろんの事、作成、操作、修正、改修、確認、全てできません。併せて、クラウド型RPAは常にインターネットに接続しているためデータ漏洩のリスクが残ります。サーバ型やインストール型とは違い、外部接続状態が許される、IDやパスワードの入力や機微な情報(人事情報、営業秘密等)の取扱いをしない、セキュリティ面を考慮しなくても良い業務範囲で複数箇所からの自動化に適しています。また、インストール型の会計ソフトや自社基幹システムなど、クラウド型RPAでは操作が出来ない場合もありますので、事前に確認をされることをお勧めします。
▼クラウド型は、大企業の部門向き
クラウド型RPAは、大企業の部門向きだと言えます。セキュリティ面さえクリアできれば、同時に複数名が各所から接続できるメリットを活かした同時処理が可能です。またコストはシナリオ本数や行数によるツールも多く、少量や小さな作業でコストメリットが出しやすいのも特徴です。他のRPAツールとの協働をする事で、上記のような得意分野での活躍が見込めるでしょう。
自社に合ったRPAを選ぼう
ひと言でRPAと言っても、色々な種類があることがお分かりいただけたと思います。RPAは自社の利用環境に沿ったツールを導入しなければ効果が発揮しにくいだけではなく、無駄なコストやセキュリティ面でのリスクを抱える事にもなりかねません。自社が想定する展開規模やRPAにさせたい作業、どんな成果を期待するのかなど、あらかじめシミュレーションし選ぶことが、大きな効率化に繋がるでしょう。
RPAの種類の他、価格、操作性からいかに自社に適したRPAを選ぶかについては、こちらの記事も参考になさってください。