公開日:2023.11.29 更新日:2023.11.29

経理部門でのRPAの活用事例|自動化できる経理業務もご紹介

概要

近年、入金のチェックや請求書の作成といった単純作業が多い経理部門における人手不足が問題となっています。
「ミスが許されない」といったプレッシャーが現場の負担になっていることも多く、経理における業務効率化は多くの企業にとって喫緊の課題といえるでしょう。
そこでRPAを用いれば、定型化された業務を自動化することができ、経理の負担軽減に大きく貢献します。
経理部門におけるRPAの活用事例や実際に自動化できる業務内容などを紹介します。

RPAで自動化できる経理業務とは?

経理業務には、入金のチェックや経費データの管理、編集といったバックオフィスの単純作業が数多くあります。
経理業務は、「ミスが許されない」というプレッシャーが現場の負担となっていることも多いため、自動化の優先度は高いといえるでしょう。
しかし、実際に経理のどのような業務をRPAによって自動化することができるのか、気になる方も多いでしょう。
ここでは、RPAによって自動化を実現できる経理業務の例を紹介します。

入金チェック

経理は、企業に入金される資金をチェックする必要があります。
月初における前月をまたいで入金された売上の処理や月末に入金される売上の処理などが主な例です。
経理は、預金明細や通帳を売掛金台帳の内容と照らし合わせ、会計システムへ入力する必要があります。
帳簿と金額が一致しているかどうかを確認するデータ照合は、RPAによる自動化に取り組みやすい業務内容です。

振込リスト作成

経理は、企業に出入りするお金を管理するため、振り込みのためのリストを作成する必要があります。
既存の情報システムからデータを収集し、それをリストアップするという手順を踏むことが多いですが、このようなデータ収集もRPAが得意とする領域です。

人の手で行う際には必ず発生してしまうヒューマンエラーもRPAでは発生しないため、正確な振り込みリストを作成することができます。最終的に重要な部分は人間が確認することも可能です。

経理データの編集

経理は、売上の管理や売掛金の管理、仕入れの管理といったさまざまな管理業務を担当します。
このような経理データの管理はいくつものシステムで行われていることが多く、複雑で、担当者の精神的負担もかかる時間も多い作業です。例えば、システムAの情報を確認し、システムBで検索して転記するという業務を自動化できます。

しかし、RPAを用いればツールの自動化を簡単に行うことができます。

請求書作成

企業によっては、営業部ではなく経理部が請求書を作成しているところもあります。
請求書は外部とのやり取りを証明する重要な書類であるため、経理業務のなかでも特にミスが許されない重要な業務です。
請求書作成は、人の手で行った業務をダブルチェック、トリプルチェックするなど、確認作業に手間がかかりやすい業務でもあります。
RPAを利用することで、既存の情報システムから請求額を算出し、請求書のフォーマットに入力するといった一連のプロセスを自動化することも可能です。
また、作成した請求書を複数人でチェックしていた場合は、チェックの人数を減らすこともできるでしょう。

会計データ処理

企業に出入りした資金や物品の管理など、会計データの処理も経理の役割です。
月末にそれぞれの部署で使用した金額を集計するといった業務も単純作業の占める割合が多く、経理にとっては負担になる傾向があります。
RPAを用いることで、部署ごとの会計データを集計し、さらにそのデータを加工するといった処理も簡単に自動化することができます。

出金管理表の作成

経理は、経費として計上される物品代や飲食代などを伝票形式で管理することがあります。
伝票形式や領収書等のデータを情報システム上へ転記して出金管理表を作成するという業務も、細心の注意を払うため、大変な作業といえます。
RPAを用いて、出金管理表の作成を自動化したというケースもあり、システム間をまたいだ自動化が可能なのがRPAの強みです。

交通費金額チェック

交通費の金額チェックも経理にとって負担となる業務の一つです。
社員から申告された交通費の金額を一つ一つ調べ、定期券の区間なども考慮しながら金額をチェックするというのは多くの場合とても骨が折れる作業ではないでしょうか。
RPAを活用すれば、申告された交通費の金額が正しいかどうかを自動的に確認し、現場の負担を軽減することもできます。

経理業務の中には自動化できる業務が多い理由

ここまで解説した通り、経理においてはさまざまな業務を自動化することが可能です。
実際に企業にRPAを導入する際にも、まずは経理から自動化に取り組んだという事例もあります。
しかし、なぜ経理部門はRPAを活用できる余地が大きいのでしょうか。
経理業務の特性から、経理業務と自動化の相性が良い理由を3つ紹介します。

定型業務が多いため

経理業務とRPAの相性が良い理由として、第一に経理業務には定型業務が多いという点が挙げられます。
経理は既存のシステム間における金額の転記やフォーマットに従った伝票作成といった定型業務が数多くありますが、RPAはそのような手順が決まった単純作業の自動化に強みがあります。
また、CSVファイルから該当する金額を抽出して、ワード上のフォーマットに金額を入力するといったプロセスが明確な業務はRPAの得意領域です。
経理には複雑な判断を必要としない定型業務が多いため、RPAによる自動化が行いやすいという特性があります。

大量のデータを扱うため

経理業務は、数千件にも及ぶ経費データの管理や100件を超えるような請求書の発行など、大量のデータを扱う場面が数多くあります。
何千件ものデータのなかから該当データを見つけ出してデータを集計する必要があるなど、複雑なデータ処理が経理にとって負担となることも少なくありません。
RPAは複雑なデータの処理や加工に強いため、多くのデータを扱う経理業務と非常に相性が良く、大量のデータを集計するといった業務もミス一つなく行うことができます。

複数のアプリを横断するため

経理業務には、複数のアプリケーションを横断して行うものが多くあります。
例えば、「経費管理システムに入力されている金額を参照してワード上で請求書を発行する」「勤怠管理システムに入力されている交通費情報を経費管理システムへ転記する」といったものが挙げられます。
異なるベンダーが開発したアプリケーションの間には、連携システムが用意されていないことがほとんどです。また、連携できるようにすると開発費やオプション費用がかかることもあります。
そのため、複数のアプリケーションを横断することが多い経理業務は、RPAによる自動化と相性が良いといえます。

RPAの普及で経理の仕事はなくなる?

ここまで経理業務がいかにRPAによる自動化と相性が良いのかという点を解説してきました。
経理業務の多くはRPAによる自動化が可能ですが、一方で「自動化してしまうとこれからは経理の仕事がなくなってしまうのではないか?」と心配になってしまう方もいるかもしれません。
RPAによって自動化できるのはあくまでもパターンが定まった定型業務です。
情報の修正や特別な請求書の発行など、イレギュラー対応までは自動化することができません。
有価証券報告書などの書類作成もRPAのみで行うことは不可能です。
すべての業務を自動化しようとするのではなく、RPAはあくまでも人間の補助的な役割として活用することが大切です。

RPAで自動化する経理業務を見つける方法

RPAによる業務の自動化に取り組むためには、どのようなステップを踏めば良いのでしょうか。
RPAを導入する前に、まずは経理部門で負担となっている業務を洗い出すことが必要であり、その後、経理業務を細分化して自動化しやすい部分を発見していきます。
RPAで自動化する業務を見つける方法について、3段階に分けて見ていきましょう。

経理部門で負担となっている作業を探す

RPAを導入する前に、まずは経理部門で負担となっている業務を洗い出すことが必要不可欠です。
経理が担当している業務フローを可視化し、詳細な業務内容をリストアップしましょう。
導入前に業務フローを可視化しておくことでRPAによって自動化するべき項目が明確になります。
負担となっている業務を探すためには、現場へ直接アンケートを実施するのも効果的です。
この段階で業務フローに課題が見つかった場合は、RPAを導入する前に業務フローを改善できるなど、副次的な効果もあるでしょう。

作業を細分化し、自動化しやすい部分を見つける

経理部門で負担となっている業務を探したあとは、作業を細分化して自動化しやすい部分を見つけ出しましょう。
一言で「請求書の作成」といっても、「既存の経費システムにアクセスする」や「金額を参照する」、「フォーマット上に金額を転記する」といったいくつものプロセスに分割することができます。
経理業務は全体的に自動化と相性が良い業務が多いですが、それでも細分化していくと自動化しやすい部分と自動化しにくい部分が存在します。
経理業務を細分化しておくことでRPAによるアプローチを行うべき部分を明確化し、できない部分は人間が行うことで効率化が進みますので、ぜひ重点的に取り組みましょう。

難易度の低い作業から自動化を進める

経理業務を細分化したあとは、RPAによる自動化を進めていくフェーズとなります。
難易度の高い業務を、一気に経理業務を自動化しようとすると、シナリオ作成が複雑化し、「上手く動かない」、「シナリオ作成に時間がかかってしまい使われなくなってしまった」などの失敗につながります。
まずは細分化した業務のなかでも、定形作業の割合が高く、できるだけ単純な段階から自動化に取り組んでいくことを心がけましょう。

経理部門でRPAを活用するポイント

経理部門は定型化された業務が多く、RPAによる自動化と相性が良いことは先述した通りです。
経理部門でRPAを実際に導入する際には、どのようなポイントに気をつければ良いのでしょうか。
自動化を段階的に進めることやベンダーのサポートを活用することなど、RPA導入のうえでは必ず気をつけたいポイントがいくつか存在します。
経理部門でRPAを活用するポイントについて解説します。

複雑な業務から自動化せず、小さい業務から始める

RPAは応用の範囲が非常に広く、さまざまな業務を自動化することができます。
そのため、RPAによって業務が自動化できるとなると、費用対効果の出やすい複雑な業務から手を付けるという進め方を選んでしまいがちです。自動化を進めてしまうと、ルールを決めるための会議が発生したりして、その会議が頓挫してなかなか先に進まないというケースもよく見かけます。
複雑な業務から自動化するのではなく、なるべく簡単に自動化できる業務から始めていくことが重要です。

ベンダーのサポートも活用する

RPAツールを導入した直後は、「操作方法が分からない」「この業務は自動化できるのか」といったような疑問点が多く発生します。
なかにはRPAツールのユーザーコミュニティが形成されているものもありますが、社員自身で情報収集するのは手間もかかり、情報の正確性に不安があります。
RPAツールは、ベンダーがRPAツール活用のためのサポートデスクを提供していることがほとんどです。
活用している際に疑問点が生じた場合は、積極的にベンダーのサポートを活用しましょう。

担当者の教育も必須

RPAツールのなかには、使いこなすためにプログラミングスキルが必須の場合や、操作方法にやや特性がある場合も少なくありません。
また、RPAツールを活用するためには現場の社員にも一定のITスキルを身につける必要があります。
現場の教育なしにRPAツールを導入してしまうと、誰もRPAツールの仕組みが分からないまま業務が進んでしまうというブラックボックス化も招いてしまいます。
RPAツールを用いて経理業務を自動化する際には、担当者の教育も欠かさずに行いましょう。

効果測定を行い、社内で共有する

RPAツールを導入したあとは、RPAツール導入によって得られた効果を測定することが重要です。
RPAツールによって削減できた労働時間やコストを算出し、RPAツール導入にかかった費用と比較しましょう。
その後、改善できる点は改善して再び効果測定を行うなど、PDCAサイクルを確立することが重要です。
また、効果測定をした結果は社内と共有しましょう。
ほかの経理業務にRPAツールを適用することはもちろん、経理業務以外の業務へRPAツールを浸透させていくこともできます。

経理業務でのRPA活用事例

経理業務においては、RPAを活用することが効果的です。
それでは、実際に経理業務にRPAを活用して経理業務の負担軽減に削減した事例にはどのようなものがあるのでしょうか。
帳票入力やメール送信、最近話題になっているインボイス対応などをRPAによって大きく効率化したケースについて、具体的な事例も交えながら見ていきましょう。

ジェイアール東海ホテルズ様の経理の事例

「名古屋マリオットアソシアホテル」など、名古屋や豊橋などに6つのホテルを展開している株式会社ジェイアール東海ホテルズ様。
「めんどくさい」「毎日やっている」という業務はないかヒアリングを行い、経理部門のRPA化を推進しました。
ジェイアール東海ホテルズ様の経理部門では、色々なシステムから帳票を出力して、必要な形に加工、保存してメールを送信するといった定型的な業務が多くありました。現在はアシロボを使って、この業務を自動化。売上の実績や過去のデータをExcelに出力して、必要な人が見たい時にすぐに見られるようにしています。
就業前や昼休み、就業後を中心にアシロボが稼働することで、経理の取り組む業務が圧縮され、労働生産性の向上に成功しました。
詳しいインタビューはこちらからご確認ください。
面倒なことはアシロボで解決!諦めずにやってみることが大事/ジェイアール東海ホテルズ様|導入企業インタビュー

インボイス対応

インボイス制度とは、消費税の複数税率に対応した新しい仕入税額控除の仕組みです。
2023年に導入が予定されていますが、まだまだ仕組みが社会に浸透していないこともあり、インボイス対応が経理部門の課題となっている企業も数多くあります。
経理部門のインボイス対応としては、

  • インボイス制度に対応しているかどうか、国税庁のサイトに法人番号で確認をする
  • 登録があれば、自社のシステムに番号を記載する

などの業務を毎月1回実施しており、膨大な取引先の数を人力で行うのは難しく時間がかかる業務です。
RPAを活用して上記のようなインボイス対応を自動化することで、経理業務の負担軽減につなげることができます。

アシロボで経理業務を自動化

RPAツールには多種多様な製品が存在します。
なかには年間の運用コストが1,000万円を超えるなどの高額なものも多く、予算の限られている中小企業にとってはRPA導入のための費用を捻出しにくいというケースも多いでしょう。
しかし、アシロボは月々5万円で使用できるRPAツールです。
無料の製品サポートや研修会も充実しているため、RPA活用に向けた知識を簡単に身につけることができます。
RPAによる経理業務の自動化を行う際は、ぜひアシロボの活用をご検討ください。

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