公開日:2023.11.29 更新日:2023.11.29

経理業務を効率化する方法とは|ツール導入の手順とメリットについて

概要

経費の精算や給与の管理、請求書の作成など、経理業務には常に正確さが求められます。しかし、日本の中小企業では未だに紙を使用した業務が多く残っており、効率化に向けたシステムの導入がまだまだ進んでいないのも事実です。経理業務の効率化に向けたツール導入の際に必ず知っておきたい、ツール導入の手順やメリットなどについて解説します。

中小企業における経理業務効率化の現状

経理業務は単純作業が多いと言われており、実際2015年に株式会社野村研究所とオズボーン准教授、フレイ博士が共同研究で発表した研究結果によると、経理は「将来ロボット等による代替可能性が高い100の職種」のうちに含まれています。しかし、中小企業においては経理業務の自動化が進んでいないのが現状です。

特にイレギュラー対応や複雑な判断を必要とする部分は自動化することが難しいとされており、中小企業においては経理業務のほとんどを未だに人の手で行っていることも少なくありません。紙での作業が多い経理業務をデジタル化させるとともに、単純作業、定型作業を自動化できるRPAの導入を検討することが求められています。

経理業務を効率化させる必要性と非効率的な理由

RPAは決まりきった手順を自動化することに長けているツールです。パソコン上で行う定型業務を自動化することで、社員は単純作業以外のコア業務や、イレギュラー対応に注力することができます。経理業務は最もRPAの活用が向いている業務のうちの一つです。経理業務にRPA活用が求められている理由と従来の業務が非効率な理由について解説します。

人材不足が深刻化

経理業務にRPA活用が求められている最大の理由の一つに、経理の人材不足が深刻化していることが挙げられます。
それに加え、最近では働き方改革の推進により、残業時間の削減が必要な企業も多くなっています。そのため、期限が決まっているものや短期間で終わらせなければならない経理業務を残業時間で賄うということも企業側としては避けたい事態です。人材不足が深刻化している経理職だからこそ、RPAの手を借りた経理業務の効率化が求められています

ミスが許されないため時間がかかる

経理業務は、数ある職種の中でも最もミスが許されない職種のうちの一つです。経費や給与の計算に一つミスがあっただけでも社内外に与える影響は大きく、ミスの修正に多大な労力と負担がかかってしまいます。ミスを防ぐために何度もチェックすることが必要ですが、度重なる確認にも負担がかかると同時に、人の目では完全にミスを防ぐことは不可能です。そのため、経理は単純作業を正確にこなすことができるRPAと相性が良いといわれています。ミスが許されない業務だからこそ、ロボットの力を借りることが必要です。

紙を使用する業務が多い

経理業務に負担がかかる理由の一つに、紙を使用する業務が多いという点も挙げられます。最近では書類の処理をデジタル化する企業や自治体なども増えてきましたが、まだまだ請求書や伝票など、紙を使用することを前提としたアナログな業務が数多く残っているのが経理の現状です。

そのため、経理にはデジタルの力を活用した自動化が求められています。ペーパーレス化することで作業が効率的に行えるばかりか、リモートワークの推進にも繋がるのです。

ルーティン化している業務が多い

経理業務はミスが許されない業務ではありますが、単純作業が多いという特徴があります。毎月固定の経費の集計や給与の精算などはほとんどルーティン化しており、経理自身が特別な判断を行うことはほとんどありません。最近では、退屈な業務が多く神経を使う職種だと感じる若者も少なくないようです。

RPAは、意思決定を必要としない定型業務に向いているという特徴があります。ルーティン化された業務がメインの経理だからこそ、RPAを活用することが必要です。

社内で完結する業務が多い

経理の特徴として、社内で簡潔する業務が多いという点が挙げられます。経費の精算や伝票データの入力、固定資産の管理や請求書の仕分けなど、ほとんどは社内で完結し、業務の結果を社外と共有することはあまり多くありません。

そのため、経理業務は他社との連携可能性を気にすることなく自動化することができます。他社との調整をすることなく柔軟にRPAツールを導入できるため、企業の中で最も業務を自動化しやすい分野の一つなのです。

システムが重複して存在している

一言で経理業務と言っても、経費の管理や請求書の仕分けなど、その仕事内容は多岐にわたります。中には、同じ経理業務の中でも経費管理と請求書管理で異なるツールが活用されているなど、システムが重複して存在していることも珍しくありません。

そのため、経費業務を自動化するためには重複したシステムの間を一貫して連携するツールが必要です。システムが重複して存在しているために連携の手間がかかるという点も、経理業務に非効率な点が多く指摘されるポイントの一つとなっています。

経理の業務を効率化させる4つの方法

ここまで現状の経理業務が抱える課題について見てきました。経理業務には紙ベースで行われる非効率なものも多く、システム間の連携など経理業務とは関係ない部分で手間がかかってしまうケースも少なくありません。ここでは、経理業務が抱える非効率な点を解消し、経理業務を効率化させる方法について紹介します。

会計ソフトの導入

経理業務を効率化する方法の一つに、会計ソフトの導入が挙げられます。会計ソフトとは、記帳や仕訳、決済書類の作成など一連の経理業務のサポートに特化したツールのことです。高機能なものから廉価で機能を絞ったものまで幅広く展開されているのが特徴で、法人と個人事業共に活用することができます。

会計ソフトを導入すると、これまでコストがかかっていた経費帳の作成や決算書類作成といった多くの業務を会計ソフトに任せることができます。経理業務を時短し、効率化してくれる便利なツールです。

ペーパーレス化を進める

経理業務においては、ハンコや署名といった紙を使用する場面が未だに数多く残っているケースが少なくありません。紙の書類は管理が大変であることに加え、リモートワークと相性が悪い、紛失のリスクがあるといった問題点が数多くあります。

これらの課題点を克服するために、ペーパーレス化を進めることが考えられます。業務をデジタル化して紙を削減することで、資料の紛失のリスクを抑えることができるとともに、印刷や紙の処分にかかるコストも抑えられ、リモートワークの推進にもつながるでしょう。

アウトソーシングや派遣の活用

最近では、経理業務を外部に委託するアウトソーシングも活発に行われています。特に自社で経理のコストを負担することが難しい場合には、積極的に経理業務のアウトソーシングを活用するとよいでしょう。

また、アウトソーシングと同様に派遣型の経理委託サービスも展開されています。派遣型の場合は経理を委託されるスタッフが出社してくれるため、重要な情報を外部に漏らすことなく経理業務を委託することができるというメリットがあります。

業務自動化ツールの導入

経理業務を効率化するためには、業務を大幅に効率化することができるツールの活用も効果的です。最近では、経理業務に特化した自動化ツールに加え、請求書の発行ができる書類管理サービスや従業員の給与計算に活用できる勤怠管理システムといった企業全体の管理を自動化・効率化してくれるサービスも数多く登場しています。

特に、最近注目を浴びているキーワードが「RPA」と「マクロ」です。いずれも単純作業を大幅に自動化してくれるため、ルーティン化された業務が発生しがちな経理業務と相性がよいといわれています。

RPAとは

RPAとは、”Robotic Process Automation”の略称で、PC上で動作するロボットを活用した業務の自動化のことを指します。パソコンで行うバックオフィス業務等を自動化することができるのが特徴で、例えばデータの出力や集計ファイルの作成、転記作業といった単純作業を社員の代わりにこなしてくれます。RPAは365日無休で働き続けることができるため、導入すれば人間は従来以上にクリエイティブな仕事や、コア業務に集中できるのが特徴です。この他のRPAのメリットについてはこちらの記事でさらに詳しく解説しています。
rpa ツール

マクロとは

マクロとは、ExcelやPowerPoint、WordといったMicrosoft社の製品に付属している自動化機能のことです。一種のプログラミングのようなもので、決まりきった手順を自動化することができると同時に、自動化する内容をカスタマイズすることができます。

RPAと同様にかなり高度な自動化が実現できますが、利用にはプログラミングスキルが必要だというハードルがあります。ただしExcelなどのOffice製品を導入してさえいれば無料で利用できるため、費用面で大きなメリットがあるのが特徴です。

経理業務を効率化させるメリット

経理業務は単純業務が多いことに加え、ミスが許されない業務です。そのため、パターン化された業務をミスなくこなし続けることができるRPAによる自動化と非常に相性がよいといわれています。経理業務をRPAの活用によって効率化させるメリットを4つ紹介します。

ミスの減少

経理業務はミスの許されない業務です。人間が担当する場合、入力ミスや集計ミスがないかどうかをいくらチェックしても、集中力の低下や疲労などによって必ずミスは発生してしまうものです。ミスが発生するとミスの修正といったイレギュラー対応が増え、対応にも工数がかかってしまいます。

一方、RPAは単純作業が非常に得意です。一旦業務を自動化してしまえば、人間がおこすような単純なミスを防ぐことができます。ミスが許されない経理業務だからこそ、RPAの活用が向いているのです。

人手不足の解消

最近では少子高齢化による人材不足が指摘されています。少人数で対応しなければならなくなると、残業が多くなり経理担当者への負担が大きくなってしまいます。
そのため、経理業務にはどんなに長時間の定型業務でも続けてこなすことのできるRPAの活用が向いています。さらに、RPAで経理業務を自動化することで、経理業務を担当していた社員が退職してしまい経理業務が回らないという事態も防ぐことにも繋がります。

コア業務への専念

数値の入力や集計作業など単純化された業務が多い経理は、RPAによる自動化を大いに活用できる分野です。とはいえ、ロボットによって経理業務を自動化したからといって人間の経理担当者が不要になるかといわれると、そうではありません。経理の中にも重要な判断を必要とする業務や、イレギュラー対応などの意思決定が必要な業務が数多くあります。

単純作業をRPAによって自動化することで、人間はこのような、より高度な能力が求められるコア業務に専念することができるのです。働きがいの向上によって社員エンゲージメントの改善も見込めるため、大きなメリットと言えます。

経理の業務を効率化させるためのシステムの選び方

一言でRPAツールといっても、現在では多種多様な商品が展開されており、高機能で大規模な事業者をターゲットとした製品から、低価格で機能を絞った中小企業向けの製品まで、数多くのサービスが存在します。経理業務を効率化する上で必ずおさえておきたい、RPAツールの選び方について解説します。

業務に適した機能がついている

RPAツールを業務効率化に向けて導入する際に最も気をつけたいポイントとして、「自社にとって必要な機能が十分揃っているか」という点が挙げられます。
RPAツールの中には一部の業務しか自動化できなかったり、ある業務の自動化に特化しているためそれ以外の自動化に向いていなかったりする製品もあるため、事前に自社にとって必要な機能が十分に備わっているかをよく確認しましょう。

現場の担当者が習得でき、初心者でも簡単に操作ができる

担当者がしっかりと使いこなせるツールとなっているかどうかも、よく検討しておきたいポイントです。業務効率化に向けてRPAツールを導入したものの、使い方を十分に習得できず、結局ツールが社内に浸透しないまま終わってしまった、というケースは多いです。また、現場ではRPAの設定が難しく、情報システム部などに依頼しなければならない場合、情報システム部が複数の部署からの依頼でパンクしてしまう、対応に遅れが出てしまい、使われなくなってしまうということもRPAの失敗事例としてあげられます。
そのため、経理担当者がしっかりと操作方法を習得できるとともに、少ない学習時間でも使いやすいツールになっているかどうかもよく検討しておきましょう。

サポートが充実している

RPAを用いて業務を効率化した際には、思い通りにロボットが動作してくれない、操作方法がわからないなど、これまでになかったトラブルが発生する可能性があります。そのような場合に備えて、RPAツールのサポート体制もよく確認しておきましょう。

特に、サポートが有料なのかどうかはよくチェックしておきたいポイントです。慣れないうちはRPAツールの操作方法について確認したいことが多く発生することも考えられるため、無料でのサポートが充実している製品を導入するのがよいでしょう。

経理業務の効率化を図るための手順とポイント

日本の中小企業では未だにペーパーベースの経理業務を行っているところも多く、非効率な点が数多く存在しているのが現状です。経理業務の非効率な点を解消し、効率的に業務をこなすためにはどのような手順で効率化を進めればよいのでしょうか。経理業務の効率化を図る上でのポイントや手順を解説します。

経理の業務を洗い出しする

経理業務の自動化や効率化を進める際は、まず自社で経理が担当している業務をリストアップしましょう。例えば、毎日・毎週・毎月行っている業務は、RPA化できる確率が高いので、このような観点で洗い出します。自動化したい業務内容を洗い出しておくことで、どのようなツールを導入すればよいのかを判断する際の助けにもなります。また、経理が担当している業務を洗い出す過程で、そもそも不必要な業務が含まれていないかも同時にチェックするとよいでしょう。

必要なシステムツールを選ぶ

経理が担当している業務を洗い出したら、次は業務効率化に必要なツールを選ぶステップです。まずは自動化することによって削減できるコストと、それぞれのツールの導入にかかるコストをよく比較検討します。業務の効率化に向けたRPAツールや会計ソフトには多種多様なものが展開されているため、前のステップで洗い出した経理の仕事内容と照らし合わせながら、自社にとって最も効果的なRPAツールを選択することがポイントです。

効果測定と改善を行う

業務の効率化に向けたツールを導入したあとは、PDCAサイクルを回すことが必要です。ツールの導入によって実際にどのような効果が得られたのかをまずはリストアップしましょう。さらに、ツールを導入したことによって発生した問題点や、対応が必要な改善点なども必ずあるはずです。ツール導入の効果測定を行うと同時に現場へフィードバックを行い、より効果的なツールの活用方法を模索していきましょう。

経理の業務効率化を成功させることができた事例

RPAは業務効率化を行う上で極めて強力なツールです。実際、RPAを活用して経理業務を効率化することができた事例は数多くあります。この記事の最後に、RPAを利用したことで業務効率化を成功させることができた事例について紹介します。

文明堂東京様の経理での導入事例

120年の歴史を持ち、日本を代表する老舗製菓業である文明堂東京様。文明堂東京様の事例では、既にアシロボを活用していた他企業の事例を耳にした代表の声によってアシロボの導入が決定しました。

もともとは社内基幹システムから人の手で出荷予定を抽出したり、商品別に集計したりしていましたが、文明堂東京様ではこのステップをRPAによって自動化。人間が残業をしてまでこなしていた業務をRPA化したことで効率化に成功し、テレワークの普及にも繋がりました。

詳しいインタビューはこちらからご確認ください。
約80シナリオ稼働!RPAをフル活用する鍵は、社内の雰囲気作り/文明堂東京様

ジェイアール東海ホテルズ様の経理での導入事例

名古屋や高山を中心に、6つのホテルを展開している株式会社ジェイアール東海ホテルズ様。JR東海沿線の開発を担うホテルビジネスを展開するジェイアール東海ホテルズ様でも、経理業務のRPAによる効率化に成功しています。

従来からRPAツール導入の声は上がっていましたが、プログラミングスキルが必要なツールが多く、ハードルが高いという問題点がありました。アシロボはエンジニア以外でも活用できる操作性の高さが特徴で、現在では経理のみならず、様々な部署で常時200を超えるシナリオが稼働しています。
詳しいインタビューはこちらからご確認ください。
面倒なことはアシロボで解決!諦めずにやってみることが大事/ジェイアール東海ホテルズ様|導入企業インタビュー

費用を抑えて経理業務の効率化を図るならアシロボへ!

経理業務は単純作業が多く、RPAを活用した自動化と非常に相性がよい分野です。多くのRPAツールが展開されていますが、中には毎月高額な費用がかかるものも多く、導入へのハードルが高いことが多いのも事実。しかし、アシロボであれば月額5万円と非常に安い価格で業務の効率化が可能です。さらにテクニカルサポート、研修などのサポートが全て無料です。ぜひこの機会にアシロボの導入を検討して、RPAによる経理業務の効率化を進めていきましょう。

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