ファクタリングとは？仕組みとメリットを徹底解説！

ファクタリングは、保有する売掛金を現金化できるサービスです。利用目的は主に資金調達ですが、売掛金の貸し倒れが発生した場合に損失を保証してくれる保険のようなサービスもあります。

ファクタリングを利用すれば、売掛金を本来の支払期日よりも早く回収できるため、手元資金の不足や支払いの滞納を解消できます。

本記事では、ファクタリングの仕組みをはじめ、メリット・デメリットについても徹底的に解説していきます。最後まで読んでいただければ、ファクタリングの基礎知識を網羅できる内容となっていますので、ぜひご覧ください。

また、サービスの選択に迷われている方は、ファクタリングサービス比較の記事を参考になさってください。

ファクタリングとは企業が持つ売掛金を現金化する手法

ファクタリングは、保有する売掛金を早期に現金化できるサービスです。素早く資金調達したい場合に活用されることが多いですが、売掛金の未回収に備えたリスクヘッジを目的として活用されることもあります。

ファクタリングが日本に登場したのは、1970年代のことです。ただ、当時の日本では手形取引が主流だったので、ほとんど普及することはありませんでした。

日本でファクタリングが本格的に利用され始めたのは、1990年代のバブル崩壊以降となります。バブル崩壊では、たくさんの取引手形が不渡りになりました。不渡りとなった手形を利用して手形割引を行っていた企業は、銀行から支払いを催促されることになり、支払えない企業も倒産してしまう「連鎖倒産」が多発したのです。

この時期から多くの企業は手形取引から掛け取引へ移行しました。その後、掛け取引で発生した債権を容易に譲渡できる制度が施行・改正され、ファクタリングの利用者数が急増したのです。

現在では、経済産業省や中小企業庁も、資金繰りが難しい中小企業や個人事業主に対して、ファクタリングの利用を推奨しています。

ファクタリングは2種類！買取型と保証型の違いを詳しく解説

ファクタリングには、「買取型」と「保証型」の2種類があります。

それぞれのサービスでは、仕組みや利用目的が異なるため、2種類のサービスについて理解を深めていきましょう。

一般的なファクタリングは買取型で売掛金を売却して資金化

買取型は、保有する売掛金をファクタリング会社に売却することで、早期に資金化できるサービスです。いわゆる「一般的なファクタリング」で、主に資金調達を目的として利用されています。

買取型ファクタリングの仕組みは以下の通りです。

買取型を利用すれば、支払期日を待たずに売掛金を回収できます。一定の手数料は発生しますが、手元資金の不足による資金ショートや支払いの滞納を回避することが可能です。

また、審査では自社ではなく、売掛先の信用力が重視されるため、金融機関からの借入が難しい企業や個人事業主でも、十分に利用できる可能性があります。

さらに、償還請求権なしのファクタリングでは、ファクタリング会社に売却した後に売掛金の貸し倒れが発生したとしても、利用者に弁済義務が発生することはありません。ファクタリングを利用すれば確実に売掛金を回収できることから、貸し倒れリスクの回避を目的に利用する方も多いです。

保証型は売掛金が回収不能の場合にファクタリング業者が補填

保証型は、売掛金の未回収が発生した場合に、あらかじめ決められている割合の損失を保証してくれるサービスです。買取型と比べて、取り扱っているファクタリング会社は少ない傾向にあります。

保証型ファクタリングの仕組みは以下の通りです。

保証型を利用すれば、売掛金の未回収が発生した場合の損失を軽減できます。ファクタリング会社に対して一定の保証料を支払う必要はありますが、売掛金の未回収による経営悪化や倒産を回避することが可能です。

取引先の与信調査を十分に行えていない場合や、貸し倒れ時の損失が大きい大型の契約を締結する場合に、活用することをおすすめします。

ファクタリングの契約方法は2種類！それぞれの特徴を解説

ここからは一般的なファクタリングとして認識されている「買取型ファクタリング」のことについて解説していきます。

ファクタリングには、「2社間」と「3社間」の2種類の契約方法があります。それぞれの契約方法によって、取引の流れやメリット・デメリットが異なるので、詳しく見ていきましょう。

2社間ファクタリングは売掛先に知られないが手数料が高い

2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社で取引を行う契約方法です。

2社間ファクタリングの仕組みは、以下の通りです。

2社間ファクタリングの最大の特徴は、売掛先が取引に参加しないことです。ファクタリングは利用しやすい資金調達方法ですが、審査通過率の高さなどから「資金繰りに困っている企業が利用する資金調達方法」という認識を持たれている方も少なくありません。ファクタリングの利用が売掛先に知られてしまうと、取引に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。

しかし、2社間ファクタリングは売掛先にバレずに利用できるため、取引に悪影響を及ぼしてしまう心配がありません。また、ファクタリングを利用する過程で、売掛先から債権譲渡の承諾を得なくてよいので、素早く手続きを進められます。利用するファクタリング会社や審査状況によっては、最短即日で資金調達を行うことも可能です。

ただし、2社間ファクタリングは、ファクタリング会社にとってリスクの高い取引です。売掛先に対して直接売掛金の存在を確認できないため、実在しない架空債権を買取ってしまう可能性や、既に第三者に譲渡されている債権を買取ってしまう可能性があります。また、売掛金が一度利用者の手元に渡るため、利用者から売掛金を使い込まれたり、持ち逃げされてしまうリスクもあります。

このように、2社間ファクタリングはファクタリング会社にとってリスクが高い取引であるため、手数料が高くなりやすい傾向にあります。

3社間ファクタリングは売掛先の承認が必要だが手数料が低い

3社間ファクタリングは、利用者・ファクタリング会社・売掛先の3者で取引を行う契約方法です。

3社間ファクタリングの仕組みは、以下の通りです。

3社間ファクタリングを利用する場合は、債権譲渡に関して売掛先の承認を得る必要があります。売掛先からの承認を得るまでには数日かかるため、素早い資金調達は難しいといえるでしょう。

また、場合によっては現在の資金繰り状況や、資金が必要な理由を売掛先に説明する必要があるため、売掛先との関係性が悪化してしまう可能性も考えられます。そのため、3社間ファクタリングを利用する場合は、信頼関係のある売掛先との売掛金を使用するようにしましょう。

ただ、3社間ファクタリングの手数料は、2社間ファクタリングと比べて低い傾向にあります。なぜなら、ファクタリング会社は売掛先に対して直接売掛金の存在を確認でき、2社間ファクタリングのように架空債権や既に譲渡されている債権を誤って買取ってしまうリスクが少ないからです。また、売掛金は売掛先から直接入金されるため、利用者に使い込まれたり、持ち逃げされたりするリスクもありません。

資金調達スピードや手続きの手間よりも手数料を抑えたい方は、3社間ファクタリングの利用をおすすめします。

ファクタリングのメリットは最短即日で資金調達できる！

ファクタリングの最大のメリットは、最短即日で資金調達できることです。

ファクタリングはあくまでも「債権譲渡契約」であり、融資やカードローンのような「金銭貸借契約」ではないため、審査が簡易的です。融資による資金調達が数週間～数ヵ月かかるのに対し、ファクタリングでは最短即日～1週間で資金調達を行えます。

そのため、以下のケースにおいては特にファクタリングの利用をおすすめします。

• 仕入れのために早急に資金が必要
• 資金不足で従業員に給料が支払えない
• 資金がなくてビジネスチャンスを逃してしまう

急な資金調達に迫られたら2社間ファクタリングを選ぼう

ファクタリングを利用して素早い資金調達を実現したい場合は、2社間ファクタリングを選択するようにしましょう。

2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社のみで取引が完結する契約方法です。ファクタリングの利用に関して売掛先から承認を得る必要がないため、素早く資金調達できます。手続きがスムーズに進めば、即日で資金調達することも可能です。

オンラインファクタリングを選ぶと即日調達の可能性が高まる

ファクタリングの手続き方法には、「対面」と「オンライン」の2種類があります。

対面型のファクタリングでは、利用者がファクタリング会社に出向く、もしくはファクタリング会社の社員に会社まで出張してもらい手続きを行います。手続きの過程で書類に不備があった場合は、再度ファクタリング会社との日程を調整しなければいけないため、資金調達までに時間を要してしまう可能性が高いです。

一方、オンラインファクタリングでは、すべての手続きをオンライン上で行うことが可能です。書類の記入ミスや不備があったとしても、すぐにオンライン上で再提出できるため、対面型のファクタリングと比べて素早く資金調達できる可能性が高いといえるでしょう。

また、オンラインファクタリングを取り扱っている会社の中には、素早い審査が可能なAI審査を導入している会社もあります。AI審査では、AIがあらかじめ決められている項目を審査するため、30分～1時間程度で審査が完了します。場合によっては、申込みから1時間程度で資金調達することも可能です。

償還請求権なしのファクタリング契約になっているか必ず確認

ファクタリングは基本的に「償還請求権なし」の契約です。

償還請求権とは、債務者から金銭債権の支払いが実行されない場合に、元の債権者まで遡って請求できる権利のことです。ファクタリング会社との契約が償還請求権ありの契約だった場合、売掛先から売掛金の支払いが実行されない際には、ファクタリング会社への弁済義務が生じます。つまり、売掛先から入金がないにも関わらず、ファクタリング会社に対して売掛金と同じ、もしくはそれ以上の金額を支払わなければいけないのです。

一方、ファクタリング会社との契約が償還請求権なしの契約だった場合、売掛先から売掛金の支払いが実行されなくても、利用者に弁済義務が生じることはありません。売掛金の未回収による損失はファクタリング会社が受けることになり、利用者は売掛金の未回収を回避できます。

このように、償還請求権なしの契約では確実に売掛金を回収できるため、リスクヘッジの一環としてファクタリングを利用する方も多いです。ファクタリングを利用する際は、「償還請求権なし」の契約内容になっているか、必ず確認するようにしましょう。

審査基準は売掛先の信用度！融資と異なり担保・保証人が不要

ファクタリングの審査で最も重視されるポイントは、売掛先の信用力です。

なぜなら、ファクタリング会社は利用者から買取った売掛金を、売掛先から回収する必要があるからです。売掛先の信用力が高い場合は、審査通過だけなく、利用条件の優遇にも期待できます。

また、ファクタリングは融資と異なり、申込みを行う際に担保・保証人を設定する必要がありません。融資のように、金額に応じた担保・保証人を探す手間がないため、気軽に利用できます。

自社の信用度に関わらず債務超過や税金滞納があっても利用可能

ファクタリング審査では、利用者の返済能力ではなく、売掛先の信用力が重視されます。利用者の経営状況や信用情報が審査に与える影響は極めて少ないため、債務超過や税金滞納に陥っている場合でも利用可能です。

ただ、裏を返せば売掛先の信用力が低い場合は、審査に通過することが難しいということになります。売掛先の信用力が低ければ、売掛金を回収できないリスクが高まるからです。

ファクタリングの審査に通過したい場合は、以下のような売掛先との売掛金を使用するとよいでしょう。

個人事業主やフリーランスでも利用できる！売掛先の信用度次第

ファクタリングは、個人事業主やフリーランスでも利用しやすい資金調達方法です。

個人事業主やフリーランスは、法人と比べて信用力が低いと判断されます。返済能力や売上の安定性が不安要素となり、融資やカードローンの審査に通過できないことも珍しくありません。

一方、ファクタリングでは、審査の際に売掛先の信用力が重視されます。法人と比べて信用力が低い個人事業主やフリーランスであっても、信用力が高い売掛先との売掛金であれば、問題なく審査に通過できます。

最近では、個人事業主・フリーランスを専門としているファクタリング会社も誕生しています。個人事業主・フリーランスで資金調達手段に困っているという方は、一度ファクタリング会社に相談してみてください。

ファクタリングのデメリットは売掛金を満額現金化できない

ファクタリングの最大のデメリットは、利用する際に手数料が発生することです。

実際に資金調達できる金額は、売掛金の額面から手数料を差し引いた金額であり、売掛金を満額現金化することはできません。本来受け取れる売掛金の金額が少なくなってしまうことは、ファクタリングのデメリットだといえます。

ファクタリングの手数料相場は契約条件によるが1〜15%程度

ファクタリングの手数料相場は、2社間ファクタリングで10%～15%、3社間ファクタリングで1%～9%ほどです。

ファクタリングの手数料は、売掛金の未回収リスクに応じて設定されます。売掛先の信用力が低い場合や、支払期日までの期間が長い売掛金の場合は、ファクタリング会社側が損失を受ける可能性が高いので、手数料が上がりやすい傾向にあります。

一方、売掛先の信用力が高い場合や、支払期日までの期間が短い場合など、ファクタリング会社側が損失を受けるリスクが低い売掛金は、手数料が低くなりやすいです。

ファクタリングを利用する際は、以下のような手段を駆使して手数料を抑えるようにしましょう。

2社間ファクタリングは手数料が高く設定されるのが一般的

ファクタリングには「2社間」と「3社間」の2種類の契約方法がありますが、一般的に2社間ファクタリングの方が手数料が高い傾向にあります。なぜなら、2社間ファクタリングは売掛先が取引に参加しない契約方法だからです。

ファクタリング会社にとっては、3社間ファクタリングよりも2社間ファクタリングの方が損失を受ける可能性が高いです。例えば、3社間ファクタリングでは売掛金の実在性に関して売掛先に直接確認できますが、2社間ファクタリングでは利用者からの提出書類を基に確認するしか方法がありません。もし、利用者が書類を偽造していた場合、ファクタリング会社は実在しない売掛金を買取ってしまい、損失を受けてしまうことになります。

また、3社間ファクタリングでは、売掛先からファクタリング会社へ直接売掛金が入金されますが、2社間ファクタリングでは、一度利用者を経由する必要があります。利用者が資金不足に陥っていた場合、売掛先から入金された売掛金を使い込んでしまう可能性も否定できません。

このような理由から、3社間ファクタリングよりも2社間ファクタリングの方が手数料が高い傾向にあります。

頼りすぎるとより財務悪化？利用するなら一時的な解決策として

ファクタリングは数ある資金調達方法の中でも、利用しやすい資金調達方法です。

しかし、頼りすぎてしまうと、財務状況が悪化してしまう可能性があります。上記でも述べたように、ファクタリングでは売掛金の額面すべてを資金化できるわけではありません。実際に資金調達できる金額は、売掛金の額面から手数料を差し引いた金額となります。

例えば、100万円の売掛金を手数料5%でファクタリングした場合、5万円の手数料が発生します。5万円ほどの手数料であれば、財務状況にそれほど影響を及ぼさないと思うかもしれませんが、同じ取引を10回繰り返した場合、合計50万円という高額な手数料を支払っていることになります。

ファクタリングを利用すればするほど、本来手元に残っていた金額との差額が大きくなってしまい、財務状況が悪化してしまう可能性があるのです。

そのため、ファクタリングは資金ショートが発生した場合など、一時的な解決策として活用するようにしましょう。

土日や祝日に対応している業者が少ないので準備は計画的に

ファクタリング会社は、基本的に平日のみの営業です。土日や祝日に営業している会社もありますが、それほど多くはないため、土日に資金需要が発生した場合は、月曜日の朝一で申込みを行えるように準備をしておくことが大切です。

特に月曜日はファクタリング会社の窓口が混雑しやすいため、少しでも記入ミスや書類不備があると当日中の資金調達が難しくなるケースがあります。スムーズに手続きを進められるように、記入情報や提出書類の不備がないか確認を怠らないようにしましょう。

ファクタリングの利用をおすすめする企業の特徴3選

ファクタリングは利用者にとってメリットが大きい資金調達方法です。ただ、利用する際に必ず手数料が発生するため、むやみやたらに利用することはおすすめできません。

ここからは、ファクタリングの利用をおすすめする企業の特徴をご紹介します。

売掛金の支払いサイクルが長く急な資金調達が必要な企業

ファクタリングは、支払サイクルの長い売掛金を保有している企業におすすめです。

支払サイクルとは、商品・サービスの提供から代金が支払われるまでの期間のことです。この支払サイクルが長いと、企業は自己資金を活用して仕入れや従業員の給料などのコストを賄わなければいけなくなるため、手元資金が不足してしまいます。

しかし、ファクタリングを利用すれば、資金不足の原因となっている支払サイクルを短縮できます。資金調達したお金を仕入れや従業員の給料などに充てることで、健全な経営を継続できるでしょう。

銀行融資の審査に通りにくいスタートアップや中小企業

ファクタリングは、銀行融資の審査に通りにくい企業におすすめです。

銀行融資では、利用者の返済能力が厳しく審査されます。経営状況や信用情報に問題がなくとも、安定性に欠けるスタートアップや中小企業は、審査通過が難しいのです。資金需要があるにも関わらず銀行融資の審査に落ちてしまった場合、経営悪化や資金ショートに陥ってしまう可能性も考えられます。

しかし、ファクタリングの審査においては、利用者よりも売掛先の経営状況・信用情報が重視されます。利用者の返済能力を重視する銀行融資の審査に落ちてしまった場合でも、ファクタリングの審査に通過できる可能性は十分にあります。

手持ち資金不足ながら事業拡大のチャンスを逃したくない企業

ファクタリングは、ビジネスチャンスを逃したくない企業におすすめです。

経営をしていると、唐突に今後の経営を左右するビジネスチャンスがやってきます。しかし、手元資金が不足している場合、事業参入・拡大を躊躇してしまい、ビジネスチャンスを逃してしまうケースも珍しくありません。

「手持ち資金は不足しているがビジネスチャンスは逃したくない」という場合は、素早く資金調達を行う必要があります。銀行融資の場合、申込みから着金までに数週間～数ヵ月かかるため、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性が高いです。

一方、ファクタリングでは最短即日で資金調達できるため、ビジネスチャンスを掴める可能性が高いです。今すぐに事業参入・拡大のための資金を調達したい場合は、ファクタリングの利用をおすすめします。

ファクタリングに関するよくある質問に回答