RPA化できる業務15選|進める手順やメリット、ポイントを紹介
概要
RPA化を進めることで業務効率化や生産性向上を図ることができるため、近年では注目を集めています。
そのため、「自社でもRPAを導入したい」と考える方は多いのではないでしょうか。
しかし、いざ導入しようと考えても「何からはじめたら良いか分からない」や「どういう風に進めれば良いのか分からない」と思う方も少なくないでしょう。
この記事では、RPA化できる業務の紹介や進める手順、メリットやポイントなどを解説します。
RPAでできることとは?
RPAは、「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略であり、人がPC上で行っている業務をロボットが自動化することを指します。
ロボットと聞くと工場における自動化をイメージするかもしれませんが、RPAが自動化するのは主にデータの自動入力や集計作業といったパソコン業務です。
そのなかでも、手順とルールが決まっている業務やルーティン化している業務は得意としており、そういった業務は基本的にRPAで対応することができます。
また、RPAに記憶させた作業内容を変更したい場合にも比較的すぐに変更することができるため、従来のITシステムと比べて使用しやすいという特徴があります。
下記の記事でも具体的に解説しているので、併せてご確認ください。
RPAでできないこと
一方、RPAでできないことも存在します。
具体的には、「AIと違い、自ら考えて判断できない」や「複雑で非定型的な作業に対応できない」、「手書きの画像などの分析ができない」といったことが挙げられます。
RPAはAIと同等と勘違いされることがありますがAIとは特徴などが全く異なるため、あらかじめ理解しておくことが肝心です。
RPAはあくまで人を手助けするツールとして捉え、ルールや手順が決まっている業務の自動化を図るようにしましょう。
RPA化できる業務例15選
RPAは具体的にどのような業務に向いているのでしょうか。
ここでは、RPA化ができる主な業務を各部門ごとにご紹介します。
全部門でRPA化できる業務
ここでは、全部門で共通してRPA化できる業務をご紹介します。
どの部門でも導入することができるため、業務効率化や生産性向上が期待できます。
データ入力
さまざまなデータの登録や更新などは、RPAが最も得意としている分野です。
データ入力のほとんどは手順が決まっていたり、ルーティン化されていたりするケースが多くあります。
そのため、今まで人が手作業で行っていたデータ入力をRPAに設定することで、自動化を図ることができます。
日報作成
日報作成もRPAで自動化を図ることが可能です。
具体例としては、音声によるテキスト化や対話をするチャットボットなどと連携することで、日報を自動作成できるようになります。
また、スマートフォンなどにあるアプリからでも操作ができるため、日報を提出するためにわざわざ事務所に戻らなければならないということもありません。
そのため、PCでの手間を減らすことができ、日報はクラウド上に自動アップロードされるため、提出の手間も省くことが可能です。
人事・総務部門でRPA化できる業務
人事や総務では個人情報をはじめ、センシティブな情報を扱っており、定型業務が多いという特徴があります。
そのため、RPAとの相性が良く、上手に活用することで業務効率化や生産性向上が期待できます。
勤怠管理システムデータの集計業務
勤怠管理には、社員のタイムカードの確認や勤怠実績のダウンロード、社員ごとの勤怠時間の算出などが挙げられます。またシフトのデータを勤怠に登録するような業務も自動化できます。
こういった勤怠管理はシステムデータで集計業務を行いますが、毎月同じように発生します。
これらの一連作業をRPA化することで、担当者の作業負担や精神的負担を大きく削減することができ、ヒューマンエラー防止にもつなげることが可能です。
そのほかにも、離職率の低下やワークライフバランスの改善も期待できるようになります。
健康診断未受診者の通知
RPAを導入することで健康診断未受診者へ通知を自動化することもできます。
人事では、人事システム上で健康診断を受けていない方に通知をするほか、社員の労働時間や有給取得などを促すように連絡をする場合が多くあります。
しかし、それらの作業量は量が多い上に単純作業であるため、担当者への負担が大きくなりがちです。
それらの業務は手順やルールが決まっている場合が多いため、RPAにとって得意分野といえます。
RPAを導入して自動化することで、健康診断を受けていない方へ自動で連絡が行くようになり、そのほかも通知も自動化できるため、作業負担を減らしたり、通知忘れ防止にもなります。
また、担当者がメインの業務に集中できるようになるため、生産性と品質向上にもつなげることができます。
経理・財務部門でRPA化できる業務
RPAを活用しやすい部門として、経理・財務部門も挙げられます。
経理や財務では、入金や売上といった数字が頻繁に動きますが、RPAはその数字をはじめとした構造化データの取り扱いも得意としています。
入金消込処理・会計ソフトへの仕分け登録作業
RPAを活用することで入金消込処理のほか、会計ソフトによる仕分けや売掛金処理などの自動化を図ることができます。
これらの業務は月末に集中して行わなければならないことが多く、メイン業務とは別で行う担当者にとって負担は非常に大きいものとなっています。
そこで、RPAを導入することで上記のような作業を自動化でき、作業負担は大幅に軽減することが可能です。
また、入金確認後に関係者へ送っていたメールなども自動化することで担当者の負担をさらに軽くすることができます。
売上集計業務
売上の集計業務もRPAで自動化を図ることができます。
経理・財務部門では、CRMなどから情報を抽出し、ファイルを開いて金額を転記、売上を集計するといった単純作業を行う必要があります。
しかし、これらの作業は単純であるためにヒューマンエラーを起こしやすく、精神的に負担になることは少なくありません。
そのような作業をRPA化することで担当者の負担を減らすとともに、コア業務へ集中することができるようになります。
営業部門でRPA化できる業務
営業部門は申請書の作成や請求書発行といったバックオフィス業務も多くあります。
それらを自動化することができれば顧客とのコミュニケーションやフォローに充てる時間を増やすことができ、信頼関係の構築につなげることができます。
請求書作成業務
請求書作成は、営業システムのデータから情報を抽出し、毎月作成しなければならない書類です。
しかし、手順やルールがあらかじめ決まっている作業であるため、RPAによる自動化を図ることができます。
請求書作成業務をRPAで自動化することでヒューマンエラーの回避ができるほか、宛先の間違いや保存先の間違いといったミスも防ぐことができます。
売上ランキングデータ
営業部門では売上情報を集計し、部署や営業担当者毎で、ランキング形式でデータにまとめる作業もあります。
この作業は定期的に必要なことであるため、RPA化しやすい業務の一つです。
しかし、RPAを導入することで担当者の負担が減るほか、働き方改革の推進にもつながります。
また、情報の取得漏れや集計ミスなどがなくなり、より正確なランキングデータに仕上げることが可能です。
営業リスト作成
営業のアタックリストの作成にRPAを活用することも可能です。
しかし、これも手作業で行うとなると時間がかかってしまい、日々の業務の負担になってしまうといえます。
営業リストの作成もある程度のルールや手順が存在するため、RPAによる自動化が可能です。
マーケティング部門でRPA化できる業務
マーケティング部門では一見、RPA化できる業務がそれほどないのではないかと思う方がいるかもしれません。
しかし、多くのデータを正確かつ素早く処理できるRPAは、マーケティング部門においても活躍できるシーンは多くあります。
フォロワー数情報収集
マーケティングを行ううえで、SNSを活用するという企業は多くいます。
そのため、フォロワー数の情報収集をはじめ、SNSでどのくらい反響があるのかを確認したいという場合が多いのではないでしょうか。また、口コミサイトに投稿された新規の口コミを確認したら通知を送ることで、口コミにすぐに対応することもできます。
これらのチェックもRPAを活用することで自動化を図ることができ、より正確なデータを得ることができます。
Web広告レポート作成
現代におけるマーケティング施策では、リスティングやアフィリエイトなどを実施している企業が多くなっています。
しかし、この施策を手作業で行うとなると時間がかかってしまう傾向にあり、非常に大変といえます。
そこで、その施策をRPA化することで管理ツールからのデータを解析ツールで分析し、所定のフォーマットで情報をまとめることが可能です。
物流・商品管理部門でRPA化できる業務
物流部門では、ECサイトの普及やオークションサイトなどの需要が高まってきたことにより、業務が増えつつあります。
その結果、商品管理部門の業務量も増えてきていますが、作業内容によってはRPAの自動化を採用することができます。
商品アップロード
商品や製品を非常に多く扱っている物流部門や商品管理部門では、一つ一つの在庫管理が大変で膨大な時間が必要になります。
また、Webサイトなどを運営している場合、在庫をすべて確認し、商品をアップロードするというのは担当者の負担が大きくなってしまいます。
そこで、RPAを導入することで商品のアップロードを自動化することができるため、担当者の肉体的・精神的負担から解放することが可能です。
基幹システムへの商品担当者入力
ECサイトなどを運営している場合、商品の登録作業や受注情報の転記等様々なデータ入力業務を行わなければなりません。
特に大規模で運営している場合は頻繁に注文を受けることが多く、その作業を人が行うとなるとどうしても時間がかかってしまいます。
そういった入力業務もRPAで自動化することができます。
入力業務以外にも在庫管理がしやすくなるといったメリットがあるため、ほかの部署と連携がスムーズになり、業務効率化と生産性向上につながるでしょう。
自治体・官公庁のRPA化できる業務
近年では、自治体や官公庁でもRPAの導入が推進されています。
一体どのようなところで活用されているのか気になるという方も多いのではないでしょうか。
RPAが活用されている業務は以下の2つです。
申請書類作成
自治体や官公庁には非常に多くの書類が存在します。
それらを人の手で作成するとなると途方もない時間と労力が必要であり、人にかかる負担は膨大といえます。
それらの作成業務は定型業務であることが多いため、RPAの活用が可能です。例えば、作成する申請書類すべてのテンプレートをフォルダ内に格納しておきます。そのフォルダ内にある書類の必要箇所をすべて書き換え、名前をつけて保存。更にPDFにしたり印刷をすることも可能です。
回覧メールの印刷
回ってきたら必ず目を通さなければならない回覧メールの印刷もRPAが得意とする分野です。
あらかじめ設定しておくことで自動的に印刷してくれるようになるほか、回覧メールの自動転送や添付ファイルを指定フォルダに保存することも可能です。
RPA化のメリット・デメリットとは?
RPA化することでメリットとデメリットは何か、気になる方も多いのではないでしょうか。
双方の特徴をあらかじめ理解しておくことで、RPAを効果的に活用することができるようになります。
ここでは、RPA化のメリットとデメリットについて解説します。
RPA化のメリット
RPA化する最大のメリットとして、単純作業の自動化を図り、人件費削減ができるとともに業務効率化を図れるという点が挙げられます。
RPAはAIと違い、自ら考えて行動するということはできませんが、アシスタントのようにサポートしてもらえるという特徴があります。
そのため、社員の業務量を減らし、肉体的にも精神的にも負担を軽減してくれるため、モチベーションの低下の防止や離職率の低下につながるでしょう。
そのほかにも、人的ミスの削減や人にしかできないコア業務に集中できるといったメリットもあります。
RPA化のデメリット
一方、RPA化の大きなデメリットとしては、定期的なメンテナンスや改善が必要不可欠ということが挙げられます。
RPAは導入したら終わりというわけではなく、導入後もメンテナンスや改善を行っていく必要があります。
これらを怠ってしまうと業務効率が落ちてしまうだけではなく、設定した通りに動いてくれないということになってしまうかもしれません。
そのため、メンテナンスや改善は抜かりなくしっかりと行うことが肝心です。
そのほかにも、業務が属人化しやすいことやシステム障害やネットワーク障害の影響を受けやすいというデメリットもあります。
RPA化を進める手順
RPA化を進める主な手順としては、以下の6つが挙げられます。
- RPA化させたい業務手順を洗い出す
- 使用するRPAツールを選定する
- 手順を基にシナリオ作成を行う
- 動作テストを行う
- 効果検証・改善を行う
- 社内で事例共有しRPA化させる業務を増やす
下記にて、それぞれ具体的に解説します。
RPA化させたい業務手順を洗い出す
まずは、RPA化させたい業務手順を洗い出すと良いでしょう。
具体的には、現場のヒアリングや業務フローを書き出し、そのなかで単純作業や改善したい業務を発見してRPAによる自動化ができるかどうかを判断します。
この段階で業務の洗い出しをしっかり行うことで、不要な作業や効率の悪い作業を発見できる場合があるため、時間をかけて洗い出すことをおすすめします。
使用するRPAツールを選定する
RPAツールはどれも業務効率化や生産性向上を目的としていますがその種類は多く、特徴や強みがツールによって異なります。
また、RPAツールによっては期間限定で体験版で利用できるものもあります。
そのため、「自社ではどういった業務を自動化したいか」や「どういった機能が欲しいか」など、自社にマッチしたRPAツールを選ぶと良いでしょう。
手順を基にシナリオ作成を行う
上記で洗い出した業務手順を基にシナリオ作成を行います。
RPAは、基本的に設定したシナリオ通りにしか自動化ができないため、シナリオが間違ってしまっていると「上手く自動化ができない」や「エラーが発生してしまう」といったトラブルが起こってしまう可能性があります。
そのため、シナリオを作成するときは実際に業務を行っている方にも携わってもらい、より正確なシナリオを作成できるようにしましょう。
また、一気にシナリオ化するのではなく、作業ごとに分けてシナリオを作成すればエラーやミスが減るため、徐々に進めていくことがポイントです。
動作テストを行う
シナリオが一通り作成できたら、次は動作テストを行います。
動作テストには、主に「単体テスト」「結合テスト」「本番データテスト」「耐久テスト」の4ステップが存在します。
テスト段階でエラーの対処法や解決策を確立しておくことで、実際に運用したときに問題が発生しても冷静に対処できるようになるでしょう。
また、エラーを回避するシナリオを作成できるようになるため、より精度の高い自動化を実現することができます。
効果検証・改善を行う
RPAを実際に導入したあとは、効果検証や改善を定期的に行っていきます。
テスト段階までは問題なく動作していても、実際に運用してみると「シナリオ作成が数本に留まっている」「メンテナンス作業に時間がかかり、動いていない」といったことは珍しくありません。そのため、望んだ通りに業務効率化が図れているかを定期的にチェックすることが必要不可欠です。
また、システムの変更やエラーが発生してしまうということもあります。
そういった場合はその都度調整する必要があるため、継続的な改善やメンテナンスを行い、RPAを効率的に運用できるようにしましょう。
社内で事例を共有しRPA化する業務を増やす
RPAで自動化できた業務は社内に事例を共有することも大切です。
自社のシステムを使った作業を自動化し、共有することによって、他の部署でも「この業務が自動化出来そう」「私でも使えるかもしれない」といったように、どんどん活用の幅を広げていくことが大切です。
また、「こういった業務が自動化できた」と周りに知ってもらえれば、自動化に対してイメージしづらかった部署も、RPAを導入するきっかけになる可能性があります。
その結果、RPA化できる業務が増えて会社全体でデジタル化を進められ、社員の負担軽減や働き方改革の推進につなげることができるでしょう。
RPA化を成功させるポイント
ここまでRPA化を進める手順について解説しました。
それらを踏まえたうえで、成功させるためにはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
ここでは、RPA化を成功につなげられるポイントを3つご紹介します。
スモールスタートさせる
はじめてRPAを導入するという場合は、まずは一つの業務から自動化を図るスモールスタートからはじめると良いでしょう。
最初から複雑な業務をRPA化してしまうと、ルールを明確にするために決めることが多くなったり、シナリオが複雑でエラーが起きやすくなってしまったりすることがあります。
RPAを導入してもなかなかシナリオ作成が進まない、エラーが出て修正に追われてしまう、ということになると、RPA活用のモチベーションも落ちますし、RPAの対応に追われて他の業務の妨げになってしまうでしょう。
そのため、スモールスタートで自動化を進めていき、徐々に自動化する業務を増やしていくことで、担当者の成功体験にもつながり、社内での活用が加速するでしょう。
業務の棚卸しをする
日々の業務の棚卸しを行うことも大切です。
具体的には、
- 毎日・毎週・毎月と繰り返しになっている作業
- 作業内容が固まっている業務
- パソコンでやる面倒な業務
などがRPAで自動化できる業務として挙げられます。
まずは面倒な業務を挙げていき、「人の判断が必要か」「イレギュラーな対応が必要か」などで自動化できる業務を絞り込んでいきましょう。
RPA化しやすい定型的な業務を選んで自動化を進めていけば、失敗のない自動化を実現できるようになるでしょう。
効果測定・改善を定期的に行う
効果測定や改善を定期的に行い、常に活用しやすい状態を維持することも重要です。
RPAは導入後も運用していく必要があり、「現状でもしっかり効果があるのか」や「効率が落ちていないか」といった効果を定期的に測定する必要があります。
また、改善やメンテナンスなども運用するうえでは欠かせないものであり、これらを怠ってしまうと業務が確実に遂行されないという問題が起こってしまう可能性があります。
RPAを上手に活用しながら業務効率化や生産性向上、品質向上などを得るためには、定期的にチェックすることが大切といえるでしょう。
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RPA化できる業務は幅広くあり、効率的に自動化を図ることで社員の肉体的・精神的負担の軽減や働き方改革の推進といったさまざまなメリットがあります。
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