RPAの費用対効果の算出方法は?|導入時の費用対効果の例もご紹介
概要
RPAツールを導入する際には、RPAツール導入による費用対効果を正確に算出することが必要不可欠です。
RPA導入によって削減できる業務時間や人件費を具体的に計算しておくことで、「RPAを導入したのに思った程の経費削減につながらなかった」といった失敗を防ぐことができます。
RPA導入時の費用対効果の算出方法や効果測定の際のポイントなどについて紹介します。
RPAの費用対効果は2種類
RPAを導入するうえでは、継続的、適切に効果測定を行うことが必要不可欠です。
RPAの費用対効果を適切かつ継続的に把握することで、RPAをさらに活用していくためには何が必要なのかが見えてきます。
RPAの費用対効果の種類としては、定量的効果と定性的効果の2種類があります。
RPAの効果を測定するうえではどちらかに偏ることなく、これら2つをどちらも的確に把握することが重要です。
定量的効果
定量的効果とは、実際に数字を利用して把握することができる効果のことです。
RPAの効果測定を行う際には、RPAによって削減された作業工数を把握する必要があります。
例えば、
- 削減された具体的な作業時間数(1日3時間など)
- 削減された人件費(1日1万円など)
などが、定量的効果の一例です。
数値でRPA導入の効果を把握することができるため、ほかのツールなどとも比較がしやすく、ひと目で結果を表せるのが特徴といえます。
定性的効果
定性的効果は、定量的効果と反対に数字では表しにくい効果のことを指します。
例えば、
- RPAを導入することで、精神的な負担が軽減された
- 単純作業が削減されたため、現場のモチベーションが向上した
- コア業務に注力できる時間が増えた
といったものが定性的効果の一例として挙げられます。
RPA導入の効果測定というと、どうしてもすぐに把握しやすい定量的効果ばかりに目が向けられてしまいがちですが、実は定性的効果も定量的効果と同様に重要です。
現場を対象としたアンケートやヒアリングを実施するなど、定性的効果も的確に把握する必要があります。
RPAの費用対効果の算出方法
RPAの効果測定を行う上では、定性的な観点と定量的な観点の双方に着目することが重要です。
それでは、どのようにすればRPAの費用対効果を正確に算出することができるのでしょうか。
RPAの費用対効果を算出するうえでは、人件費やアウトソーシング費など、多角的な観点から比較検討することが重要です。
RPAの費用対効果の算出方法を解説します。
例1.残業代・人件費削減のためRPAを使用する場合
これまで長時間の残業で取り組んできた単純作業をRPAによって自動化したいというのはよくあるシチュエーションです。
残業代や人件費削減のためにRPAを導入する場合は、まず業務の棚卸しと作業にかかる時間を算出します。
その後、RPAを導入したあとの作業時間やRPAの導入費用も考慮しながら、費用対効果を算出するという流れです。
それぞれのステップについて詳しく解説します。
業務の棚卸しと作業時間を算出し、人件費を出す
RPAによる費用対効果を算出するときは、まずは従来の方法で必要となるコストを算出しましょう。
これまで手作業で取り組んできた費用対効果を算出したい仕事を洗い出し、その作業にかかっていた作業時間から人件費を算出します。
1か月あたりの作業にかかる人件費は、以下の式で算出できます。
人件費(円)=1件あたりの処理時間(時間)×1か月の平均処理件数(件)×担当者の時給(円)
例えば、請求書の作成を行う担当者が時給3,000円で1か月あたり平均200件を処理しており、1枚作成するのに6分必要だとします。
この場合、請求書作成にかかる1か月あたりの人件費は
0.1(時間)×3,000円×200件=60,000円
と算出することができます。
RPAで自動化後の業務時間と削減できる人件費を算出する
RPAを導入前の人件費を算出したら、次はRPAを導入したあとの人件費を算出しましょう。
RPAを導入したあとの人件費を無視して費用対効果を算出してしまうケースが多いですが、RPAを導入したからといって完全に業務時間をゼロにできるというわけではありません。
自動化によって削減できる人件費は、以下の式で計算できます。
削減できる人件費(円)=自動化前の人件費(円)-自動化後の人件費(円)
例えば、先程と同様のシチュエーションで、自動化前に1か月あたり60,000円の人件費がかかっていたとします。
自動化後には200件の請求書の作成が1時間で終了するようになった場合、1か月あたりに削減できた人件費は
60,000円-3,000円=57,000円
となります。
削減できる人件費からRPAの導入コストを引く
RPAを導入する際には、RPAの運用にかかる費用の計算も必要です。
RPAの導入にはさまざまな費用がかかりますが、費用対効果を算出するうえで考慮したいのは毎月発生するランニングコストです。
最終的なRPA導入による費用対効果は以下の式で算出できます。
RPAによって削減できた費用=削減できた人件費(円)-導入コスト(円)
例えば、先述した請求書作成を行うRPAに月々50,000円のライセンス料が必要だった場合、RPA導入によって毎月削減できる費用対効果は
57,000円-50,000円=7,000円
となります。
例2.定性的な効果も書き残す
RPAの導入効果を測定する際には、目に見えて分かりやすく効果が把握しやすい定量的な観点のみに着目されやすい傾向があります。
しかし、「単純作業の減少によって現場の負担が軽減した」「社員がこれまで以上にクリエイティブな業務に集中できるようになった」といった項目は容易に数値化することが難しいです。
定性的な効果を把握するためには、社員に対するアンケートやヒアリングを実施するといった手段が考えられます。
「RPAによってどのような効果がもたらされたと思うか?」といった記述式の設問を用意するなど、定性的な観点も意識的に書き残しましょう。
例3.人件費とRPAのコストを比較する
RPAによる費用対効果を算出する際には、RPA化を検討している単純作業を中途で採用した社員に担当してもらうパターンや、アウトソーシングするパターンとも比較検討することが重要です。中途採用やアウトソーシングにかかる費用と、RPAの費用を比較する計算方法などについて紹介します。
中途採用・またはアウトソーシングする費用を算出
RPAによって自動化したい業務に取り組む手段として、中途採用やアウトソーシングも考えられます。
採用にかかるコストは、外部コストと内部コストの二種類があります。
外部コストは、求人媒体への掲載費用や人材紹介の利用料などを指し、内部コストは採用担当者や面接担当者の人件費といった社内のリソースを金額に換算したものです。
採用のコストは以下の式で計算できます。
採用コスト=外部コスト+内部コスト
1件あたりの中途採用に500,000円のメディア掲載料と、採用担当者の人件費100,000円がかかったと想定します。
この場合、トータルの採用コストは、
500,000円+100,000円=600,000円
となります。
アウトソーシングの場合は、直接委託先が費用を明示している場合がほとんどです。
例えば経理業務の場合、仕分け量にもよりますが1件1,000円〜2,000円程度で引き受けてくれます。
RPAの導入費用を算出し、比較する
RPAの利用には、月々ベンダーへ支払う必要があるライセンス料が必要です。
中途採用やアウトソーシングする費用を算出したあとは、これをRPAの導入コストと比較しましょう。
ここまでに紹介した計算式を活用すれば、中途採用やアウトソーシング、RPAの導入など、それぞれにかかる費用が算出できます。
ただし、中途採用で採用した人材は、入社後に請求書の作成だけを行うわけではありません。
単純に一番安いものを選ぶのではなく、多角的な観点から検討を進めるようにしましょう。
RPAの導入で効果を得るためのポイント
RPAの導入にかかるコストを算出する方法について解説してきました。
単純作業の削減や現場のモチベーションの向上など、RPAの導入には多くのメリットがあります。
しかし、闇雲に導入すれば効果を発揮するというわけではないので注意が必要です。
以下でRPAの導入で効果を得るためのポイントについて解説します。
導入・運用にかかる費用を把握する
第一にRPAの導入や運用にかかる費用を正確に把握することが重要です。
RPAの運用にかかる費用を把握できていないと、「RPAを導入してシナリオも上手く動いているのに、思ったほどの経費削減ができなかった」や「導入したものの、ライセンス料が社内の経費を圧迫している」という事態を招いてしまいます。
RPAには、導入時に発生する導入費用と毎月のランニングコストとなる運用費用の2種類の費用が必要です。
RPAの導入前に、それぞれの金額を的確に把握しておきましょう。
導入費用の相場
導入費用が無料となっているツールもありますが、多くのRPAを導入する際には、インストール時に必要な初期費用が発生します。
新しいサービスを導入する際のサポートや事務手続きに関する対価と考えれば良いでしょう。
RPAの導入費用の相場を、RPAの種類ごとでまとめた表が以下の通りです。
初期費用 ※参考価格 |
|
---|---|
デスクトップ型 | 0円~20万円程度 |
サーバー型 | 2万円~100万程度 |
クラウド型 | 10万円~50万円程度 |
サーバー型のRPAで大規模な運用を行う際は、初期構築費用等で100万円を超える初期費用が必要となる場合もあります。
詳しいRPAの価格や種類の比較については、以下の記事もご確認ください。
運用費用の相場
運用費用は、RPAを導入したあとに毎月かかるランニングコストのことです。
RPAはサブスク型でサービスを提供しているケースが多いため、一定量のライセンス料をベンダーへ支払う必要があります。
また、RPA活用のためのサポート費も運用費用に含まれます。
RPAツールの機能や規模によってそのライセンス料はさまざまです。参考価格を表にしたのが以下です。
ランニングコスト ※参考価格 |
|
---|---|
デスクトップ型 | 月額5万円~ |
サーバー型 | 月額50万円~100万円 |
クラウド型 | 月額10万円~ |
こちらも導入費用と同じように、サーバー型が費用が高く、デスクトップ型・クラウド型が価格相場も安くなっています。
定性的な効果にも目を向ける
RPAを導入するうえでは、定量的な効果だけではなく定性的な効果にも目を向けることが重要です。
例えば、1回あたりに必要な工数が5分程度の細かなタスクとした場合、1回あたりに必要な工数こそ少ないですが、そのようなタスクがいくつも重なると現場にとっては大きな負担です。
1回あたりの工数が少ない細かなタスクが自動化されるだけでも、現場にとっては大きな負担軽減につながります。
そのほかにも、モチベーションや精神的負担といった数値に現れにくい効果にも目を向けるようにしましょう。
RPAに向いていない業務も自動化させようとしない
最近のRPAには高機能なものもあり、複雑な条件分岐を含むようなシナリオも作れないことはありません。
しかし、RPAは本来、手順が決まった単純な作業を自動化することが得意です。
RPAで自動化するのに向いていない業務まで無理に自動化させようとすると、シナリオ作成に多大な時間がかかってしまいます。
それに加え、複雑なシナリオは動作中にエラーが発生してしまうリスクも高いです。
RPAが上手く動かないため、現場で最終的に使われなくなってしまい、コストが無駄になってしまうという事態も考えられます。
RPAを導入する際には、RPAによる自動化に向いている業務を見極めるようにしましょう。
現場でもメンテナンスができるように人材育成をする
RPAを活用するためには、現場にも一定のITスキルが求められます。
現場の人材育成なしにRPAを導入してしまったため、現場で十分なメンテナンスができないといったケースは少なくありません。
現場で十分にRPAを使いこなせる人材がいないという状況を放置してしまうと、社内の情報システム部にシナリオ作成やトラブル対応の依頼が集中します。
その結果、作業工程を変更するごとに情報システム部がシナリオの修正や更新を行う必要があり、情報システム部が人手不足に陥ってしまいます。
また、シナリオの修正対応も後回しになり、最終的には現場でRPAが使われなくなってしまうというのはよくある失敗事例です。
現場での十分なメンテナンスができるような人材育成に力を入れましょう。
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