公開日:2023.11.29 更新日:2023.11.29

RPAのメリットとデメリットの回避方法をわかりやすく解説

概要

デジタル化・働き方改革・業務効率化・生産性向上といったキーワードとともに近年注目を集めるRPA。
少子高齢化による人手不足の解消やコロナ禍によるテレワークの推進のため、導入を検討されている企業も多いのではないでしょうか。
RPAは効果を発揮すれば、様々なメリットが得られます。この記事ではRPAのメリットとデメリットの回避方法について紹介します。

RPA導入のメリット

RPA(Robotic Process Automation)は、「手順&ルール」が存在する業務であれば自動化可能といっても過言ではありません。RPA導入が成功し、社内で定着した場合、どのようなメリットが得られるのか見ていきましょう。

(1)人的ミスが無くなる

繰り返しの多い単純作業を人が長時間行う際は、集中力が途切れ疲れたり、ミスも発生しやすくなります。もし、入力ミスや作業漏れ、メール送信先間違いなど、うっかりミスをした場合、取引先からの信用失墜や、最悪売上ダウンといった事態にもつながりかねません。一方、RPAは忠実に動くロボットなので、うっかりミスが発生することもなく、ミスの対応に負われることもないため、生産性も向上します。

(2)業務処理が早くなる

人間が行うには時間のかかる業務も、RPAでの自動化によって処理スピードは大幅にアップします。もちろん、処理速度が早いだけでなく、24時間365日稼働が可能なため、夜中や休日といった業務時間外でも処理を進め働かせることができます。同時に、上記のような人的ミスもなくなるので、チェックや修正に掛けていた時間も大幅に削減できるでしょう。単純作業に時間をとられて慢性的な人手不足に陥っている社内環境の課題解決につながります。

(3)より知的でクリエイティブな業務に注力できる

例えば、毎日わずか10分間の業務であっても、これらをRPAで自動化すると、1ヶ月換算にすると約200分間、年間で40時間もの定型業務から人の手が解放されることになります。こうして創出された時間で、人はデータ分析や企画・戦略立案、社内外とのコミュニケーションなど、より付加価値の高い業務に取り組むことができます。この例では、わずか1作業の10分間の話でしたが、このような創出時間の積み重ねが一人一人の生産性向上となり、やがては、個人レベルにまで届く”本当の”働き方改革なのです。

(4)コスト削減ができる

単純作業がRPAに置き換わることで、もちろん、人件費、採用費、教育費のコスト削減につながります。他にも、RPAであれば、シナリオ作成(=引き継ぎ)を、たった一度だけ丁寧にすれば、業務を正確に遂行してくれる上、残業代、福利厚生費、コミュニケーションコストさえ不要です。また、業務の見直しを行うことで、業務フローを効率化することもできるでしょう。効果的にRPAを活用できれば、導入・運用コストを考慮しても費用対効果は抜群に高いといえます。

(5)働き方改革の推進につながる

上記は、RPAの表面的なメリットでしたが、RPAの存在やメリットは、経営者だけが喜ぶ冷酷な人斬りマシーンではありません。3.に記したように、定型業務の自動化によって無駄な残業を減らし、有給休暇の取得率向上を可能にしたりと、従業員満足に貢献できることが最大のメリットといえます。

こうしたRPA導入のメリットを並べてみると、正確性の向上や費用の削減だけでなく、従業員のイライラ時間の軽減、ストレスからの開放といった労働環境の改善、考える時間の確保、従業員のQOL(生活の質)向上、長時間労働の排除、残業時間の削減、有給取得率の向上など、従業員の心身ともにプラスの影響を与える「副次的効果」が、メリットの大半を占めていることにも気づけます。すなわち、従業員のモチベーションアップにも、大きな効果を発揮してくれることも期待できます。

RPA導入のデメリット

RPA導入のデメリット

RPAはさまざまな効果を生み出す一方で、ロボットであるがゆえのデメリットを引き起こすこともあります。各デメリットと回避方法についてみてみましょう。

(1)画面変更時のメンテナンスが発生する

シナリオ作成時に指示していたウェブサイトや基幹システムなどの画面表示が、ある日突然操作性改善のための見た目(UI)変更がされた場合、シナリオの修正が必要になる場合があります。一般的なRPA製品での回避方法では、定期的なメンテナンスで仕様変更がないか確認を行なったり、いざ何か発生した際には、そのシナリオが何をしているのか、すぐに理解できメンテナンスできる操作性の簡易なRPAを選択しておくというのも、リスク回避の重要な観点になります。

事前にできる回避方法

◎通知報告
エラーが出た時用に、メールなどで通知するシナリオを予め設定しておけば、万一のUI変更で作業が停止した場合の早期発見が可能です。また、完了後に上長に報告するシナリオを加えておくのも良いでしょう。

アシロボでは、メール、チャットワーク、Slack、LINE、Teamsなど、あらゆるコミュニケーションツールの操作が可能です。各作業シナリオに報告業務シナリオを追記しておくことで、完了報告が受けられると安心できるかと思います。

◎セーフティネットシナリオ
シナリオが上手く完了できなかった場合には、別のシナリオを実行する等の対応を予め組んでおく、シナリオ稼働時のセーフティネットを張っておくことも有効です。アシロボでの回避方法
操作画面のUI変更時は、対処が遅れると、折角、手元から離れて自動化を進めたにも関わらず、元の人の作業に戻すことになります。そのため、早期発見、早期対応が重要です。こうした事態の際に、システム担当者しか触れない、外注先に連絡がつかない、連絡がついても日数がかかるようでは困ります。

アシロボであれば、シナリオの各コマンドごとのメモ機能で、「どのボタンをクリックしているのか」など指示している情報を細かく記すことができます。つまり、修正すべき箇所が初見でも分かりやすく、数時間程度のアシロボ操作研修会さえ経験していれば、その場で修正対応が可能です。

(2)判断が必要な業務はできない

RPAにはAIのような判断能力がありません。指示されていない予定外の作業への柔軟性はなく、事前に指示しているもののみ対応可能です。例えば、とある作業で、数値のコピー元が「Aフォルダ内のB(EXCEL)ファイルのC25」と指示していたのに、誰かがエクセル行を勝手に追加し、「C26」に移動していた場合、人であれば問題なく気付けるものの、判断能力を持たないRPAには、当然のように「C25」の数値をコピー元として取得し、何ら気づく事なくコピー先へ貼付けます。またシナリオ作成時に設定ミスがあった場合も、自らで気付くことはできず、間違った指示のままに愚直に作業を繰り返します。

つまり、RPAは経験を積んだ従業員のように、融通を利かせて「上手く対応しておきました」と、気の利いた事はできません。あくまで教えられたままの作業を、永遠に続ける労働力であると理解しておくのがよいでしょう。

回避方法:半自動化

人間の動作を待つというコマンドを有しており、半自動化が可能です。例えば、WEBページの認証にスマートフォンに届いたパスコードが必要な段階で人間が入力をし、その後RPAが作業を続けていくという設定が可能です。

また、判断が必要な業務は、ルールを見直すという方法もあります。RPAの特性を理解し、RPA対象業務においてはエクセルの行列の追加禁止など、帳票の固定化をすれば、トラブルが発生することはありません。またシナリオ作成時の動作確認という基本的な事をしておくだけで、安定稼働につながります。

(3)管理が不十分だと混乱を生む可能性もある

RPAの稼働後は、以下のような事が発生しないように、管理・運用しておく必要があります。

a)担当者が異動になり、目的不明なシナリオが動く(俗称:野良ロボ)

b)業務内容の変更があったのにシナリオ修正の必要に気づけない

c)管理者不在でメンテナンス時期や取扱いルールが不明確になる

こうした混乱が起こると、状況確認や業務修正に時間をとられ、効率アップどころか現場にも負担がかかってしまいます。

回避方法:ルールを決める

各コマンド(動作指示のひとつひとつ)ごとにメモ機能があるため、何の動作をさせているのかを細かくメモ書きしておくことが可能です。また人が読むためだけのメモ専用コマンドのご用意もあるため、シナリオ上部に当該シナリオの全体像を記しておくことさえも可能です。つまり、シナリオ全体が、とても丁寧な手順書の役割を果たすことができるので、属人性の排除、ブラックボックス化の防止にもつながります。もし、前任者が作成したシナリオの内容が不明でも、サポートに問い合わせれば、不明点についてご案内が可能です。

RPAを活用・浸透させるポイント

RPAを活用・浸透させるポイント

上記でお伝えした通り、RPAは全ての業務を請け負える完璧なロボットではありません。デメリットもあるため、導入前にはRPAを上手く活用するための対策をしておきましょう。
ここでは、RPA活用のポイントを解説いたします。

各部門でRPAをメンテナンスできるようにする

RPAがエラーを起こしてしまった場合や、業務が変更になった場合、各部門で自らメンテナンスや修正・整備を行えるようにしておくことをおすすめします。
RPAツールには、プログラミングの知識が不要で、簡単に設定ができるものも多くあります。事前知識がなくても、研修を受けることによってメンテナンスができる人材を増やすこともできますので、導入時には使いやすいRPAを選定することも大切です。

アシロボでは、プログラミングの知識がなくても、7時間半でアシロボをメンテナンスできるようになるまでの操作を学べるセミナーを無料で受けることができます。

サポートが充実しているベンダーを選ぶ

RPAを導入する際は、ベンダーのサポートが充実しているかどうかも重要なポイントです。ベンダーのサポートはQ&Aやヘルプデスクや導入支援サービス、シナリオ作成代行や使用方法の研修など、多岐にわたります。
ベンダーを選択する際には、どのようなサポートを行っているのか、有料か無料か、支援の範囲(メールでのアドバイスのみか、実際に操作まで行ってくれるのか)などを確認してから導入に踏み切ると良いでしょう。
ベンダーとの相性が悪い、サポートが充実していないベンダーでスタートさせてしまうと、切り替えるまでに多くのコストがかかるリスクもありますので、注意して選びましょう。

スモールスタートで始める

一度にたくさんの業務を自動化させようとしてしまうと、シナリオ作成に時間がかかってしまいます。
なるべく部署を絞ってまずは簡単な業務を自動化するなど、スモールスタートで始めることによって、稼働してみてわかるノウハウを蓄積することができますので、それを基にどんどん拡大していくとよいでしょう。
RPAツールは無料トライアルや体験版を用意しているベンダーも多いので、事前に必ず検証内容や期間を決めておき、効果測定ができるようにスタートさせる体制をしっかり準備しておきましょう。

RPAで自動化可能な業務を選定する

前述しましたが、一気に多くの業務を自動化させようとしたり、一気に業務の全行程を自動化させようとしてしまうと、シナリオ作成が複雑化してしまいます。
まずは行っている作業内容を一つ一つの工数に細かく分けて洗い出し、どこが自動化可能なのかを選定していくと良いでしょう。
RPAには得意なことと不得意なことがありますので、なるべく判断が必要のない簡単な業務はRPAで、シナリオが複雑になりそうな作業は人間が行うことで導入がスムーズに進みます。
まずは全てを自動化するのではなく、判断が必要な部分は自動化せずにRPAと社員の二人三脚で業務を進めていくことが成功のコツです。

まとめ

さて、改めて、RPAでの自動化は「ルール&手順」があり「パソコン上で完結」する業務です。一方で、最近「RPAを導入したが、いまいち効果が出ない」「うまく使えなかった」「RPAってダメだよ」こんな噂も耳にします。

アシロボ導入企業の皆様からお聞きする限り、どうやら失敗の多くの原因は、自動化すべき対象業務の選定方法で、躓かれていた可能性が高いようにも思われます。RPA化に適した業務選定は、こちらの記事(RPAで出来ること|どんな業務を自動化できるのか)こちらの記事(RPAによる作業の自動化で効率アップ!自動化に適した作業とは)でも解説しています。

より細かな、そして高確率でRPA化が成功する選定方法をお聞きになられたい方には、デメリットを回避し、メリットの恩恵を受けられる対象業務の選定方法をお伝えします。RPAの導入を検討されている方は、お気軽にご相談ください。

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