公開日:2023.11.29 更新日:2023.11.29

RPAの効果について|効果測定方法とポイントをご紹介

概要

RPAは「Robotic Process Automation」の略語で、ロボットによる業務プロセスの自動化を指します。
データ入力やメール送信といった単純作業を自動化・効率化することができるため、RPA導入によって得られる効果は幅広く、企業にとって多くのメリットがあります。
RPAを導入する際には、RPA導入によって得られる効果を正確に測定することが重要です。
この記事では、RPAを導入するメリットやRPAの効果測定方法、効果測定のポイントなどを解説します。

RPAの導入によって得られる効果とは?

RPAの導入によって得られる効果とは?

RPAは導入前に効果を見極めることが大切だとお伝えしましたが、それではRPAの導入には実際どのような効果があるのでしょうか。
働き方改革や業務自動化など、RPA導入にはさまざまなメリットがあります。
ここではRPA導入によって得られる効果を「働き方改革の推進」「定型業務の効率化」「業務内容の可視化」といった8つの観点から解説します。

働き方改革の推進ができる

RPAを導入する第一の効果として、働き方改革を推進できるという点があります。
最近では残業時間を削減したり、有給休暇の取得を義務付けたりといった働き方改革が積極的に推進されています。
特に長時間労働に対する世間の目は厳しくなってきており、業務を効率的にこなすことが求められる時代になりました。
RPAで業務を効率化することによって、残業の削減、有給取得率の向上などにもつながるでしょう。
業務を効率化することで社員の労働環境が改善し、育児や介護といったプライベートと仕事を両立してもらいやすくなります。

定型業務を効率化できる

定型業務を効率化できるという点もRPAを導入するメリットです。
情報システムからのデータ取得や情報システム上へのデータ入力など、手間のかかる作業は現場にとって負担となります。
決まった作業の繰り返しは社員にとって心理的な負担も大きく、ストレスの原因の一つです。
RPAは、判断や意思決定を必要としない定型業務を行うことが得意です。
RPAを導入することで、人間にとって退屈な単純作業の繰り返しから開放することができ、人間が本来行うべきクリエイティブな業務に注力することができるでしょう。

業務内容を可視化できる

RPAを導入する際には、RPAによって自動化する業務をリストアップする必要があります。社内で取り組んでいるさまざまな業務を洗い出し、業務フローを可視化する過程でこれまで気づけなかった無駄な作業に気づくことができます。
そのため、これまで取り組んでいた業務に対する問題点や、業務が抱える課題を洗い出すことができるため、業務フローの改善につながるという点もRPA導入のメリットです。
また、場合によってはRPAを導入するよりも効果的だと考えられる業務フローの改善や、属人化防止のための糸口が見つかることもあります。
RPA導入をきっかけに業務内容を可視化して、業務フローが改善することができます。

ヒューマンエラーの防止ができる

データ入力やデータ転記といった単純作業は、多くの場合ミスが発生してしまいます。
人は長時間同じ作業を繰り返していると集中力が低下しやすい傾向があります。
特にミスの許されない給与計算や勤怠管理といった業務において、ヒューマンエラーが発生するとミスの修正対応などのイレギュラーな業務が発生してしまい、これが現場にとって負担となってしまうという悪循環が発生します。
その点RPAでは、手順が定まった業務を正確にこなすことができ、長時間同じ作業を続けたからといってミスが起こることはありません。
RPAを導入することでヒューマンエラーを防止できるため、現場の負担を軽減することが可能です。

人手不足の解消につながる

現代の日本社会は少子高齢化が進んでいます。
労働力人口はかつてないほどに減少しており、経済産業省が公表した「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」という資料によれば、2050年には日本の人口は1億人まで減少することも予測されています。
そのため、これからの時代では、業種や業界を問わず人手不足に陥ることが懸念されます。
中小企業はもちろんのこと、大手企業も含めたさまざまな企業が人手不足へ対処することが必要不可欠です。
それらに対し、RPAを導入することで人間に代わる労働力として業務をこなしてくれるようになり、24時間365日稼働することができるため、人手不足の解消につながるでしょう。

参考:2050年までの経済社会の 構造変化と政策課題について

人間がコア業務に集中できる

RPAは業務を自動化することができるといっても、「顧客対応をする」「新しい企画を立案する」など、考えて行動することはできません。
ですが、単純作業や定型作業に追われてしまい、本来やるべきコア業務に時間が割けないという企業も少なくありません。
RPAを導入することによって、空いた時間で営業活動や事業の計画といったよりクリエイティブなコア業務に集中できるようになるため、社員のモチベーションも向上し、企業全体としての生産性改善につなげられるでしょう。

外注費・残業代の削減につながる

納期が決まっていたり、繁忙期には残業をして処理を行う作業がある企業は多いのではないでしょうか。
また、特別なスキルを必要としないデータ入力といった単純作業を外部委託しているという企業も少なくありません。

しかし、単純作業を外注したり、残業で対応しているとその分のコストがかかってしまいます。
そのような業務をRPAツールを使って業務を効率化すれば、外注費や残業代を削減することが可能です。
コストカットという面もおいてもRPAツールの大きな魅力といえます。

各個人の業務の処理速度が速くなる

RPAツールによる自動化を行う際、やや設定が煩雑なカーソル操作よりもショートカットキーを使って操作を行う方が安定して動作します。
RPAツールを導入することで直接得られるメリットというよりも副次的な効果ではありますが、RPAツール導入をきっかけにショートカットキーを勉強するきっかけになった等ITツールの習得につながったという声もあります。
エクセスや情報管理システムに設定されていたショートカットキーを覚えることで、自分自身の業務効率化につながることがあるというのも、RPA導入による思わぬメリットといえるでしょう。

RPAの導入効果の測定方法

RPA導入を行う際には、RPA導入によって得られた効果をしっかりと測定することが重要です。
RPA導入後に得られた効果を算出し社内で共有することで、さらに別の業務の自動化の取り組みや他部署へ自動化を促進などをすることができます。
RPA導入の効果測定方法について見ていきましょう。

また、こちらの記事では、RPAの費用対効果に関連する解説を行っているため、併せてご確認下さい。
RPAの費用対効果の算出方法は?|導入時の費用対効果の例もご紹介

定量的な効果測定の方法

定量的な効果測定とは、数値として表すことができる効果測定のことをいいます。
たとえば、「RPA導入によって2時間かかっていた業務が5分に短縮できた」や「月々10万円の人件費を削減できた」といったものが定量的な効果測定に該当します。
費用については、以下の計算式で計算することが可能です。

削減できた費用=担当者がかけていた時間×担当者の時給-RPAの利用料

定量的な効果測定を行うことで、RPA導入によって得られた費用対効果を正確に算出することができます。

定性的な効果測定の方法

定性的な効果測定とは、定量的な効果測定と反対に数値では表すことができない効果のことです。
具体的には、「ヒューマンエラーが減った」や「担当者の有給取得率が上がった」、「コア業務に割ける時間が多くなった」などがあげられます。
RPA導入による効果測定というと、比較しやすく一目で効果が把握できる定量的な効果測定ばかりが注目されがちです。
しかし、RPAツール導入による効果を正確に知るためには、定性的な観点も考慮する必要があります。
そのため、社員にアンケートを実施するなど、定性目標も明確化しておきましょう。

RPAの効果測定のポイント

RPAの効果測定のポイント

RPAを導入する際、より効果的にするためにはどのようにすれば良いのでしょうか。
ここでは、RPAの導入を効果的にする主なポイントを4つご紹介します。
ここで紹介するポイントを押さえることで、より効果的な自動化が期待できるようになるでしょう。

導入前に導入効果を想定しておく

RPAの導入後に、「思うような効果は得られなかった」や「効率化は図れたが、最適なものではない」という失敗例は少なくありません。
そういった場合、「導入したらどのような効果が得られるか」「導入するとどのような役立ち、どう連携すると目的を果たせるのか」という部分を掘り下げて想定してない場合があります。
そのため、導入したら得られるだろう効果をしっかりとチェックして明確化し、理解しておくことが肝心です。
導入した際のさまざまな可能性や効果を予測しておくことで、理想的なRPAの導入を実現できるでしょう。

スモールスタートする

現代におけるRPAは30種類以上だといわれており、種類の多さからRPAの選定も楽ではありません。
まずはじめとして、最小限の労力かつ短期間で検証を行えるスモールスタートを採用してみると良いでしょう。
スモールスタートであれば、人件費や資金、リスクといったものを最小限に抑えつつ、「問題解決に適したRPAか」という部分を対策しつつ確認することができます。
また、「万が一、撤退となった場合でもコストを最小限に抑えられる」や「比較的早く運用を開始でき、作業時間短縮を図れる」、「早期に検証結果を知ることができる」といったメリットもあります。
そのため、「はじめてRPAを導入するけど不安」といった場合は、スモールスタートからRPAを活用してトライアルすると良いでしょう。

定性的な効果にも注目する

RPAを導入すると、効果が一目で分かりやすい定量的な観点の評価に注目が向きがちです。
定量的な評価というのは非常に比較がしやすく、RPA導入による効果を実感しやすい傾向にあります。
しかし、大切なのは定量的な評価だけではなく、従業員や社員からの「クリエイティブな仕事を発揮できた」や「モチベーションが上がった」、「手作業や入力ミスが減った」という数値で表せないような効果や能力面に注目することです。
定量的な観点ばかりに着目していると、RPA導入による副次的な効果を見落とすことにもつながってしまうためおすすめできません。

導入・運用のコストを把握しておく

RPAを導入し、運用していくためには、どうしてもコストがかかってきます。
そのため、事前にRPA導入と運用にかかるコストを明確化しておくことが大切になります。
サービス会社が販売しているRPAを導入する際には、導入時に一回限り必要な導入費用とライセンス料などの導入後に月々払う必要のあるランニングコストの2つがあります。
RPAで業務の効率化を図れるからといって削減できる業務量を導入費用が上回ってしまっては本末転倒です。
RPAを導入する前には、必ずRPA導入にかかるコストを計算し、事前にコストがどれくらいかかるのか、不要なサポートやソフトウェアはないかなどを把握しておくようにしましょう。

RPAの導入効果事例

RPAを実際に導入すると具体的にどのような効果が得られるのかと気になる方は多いのではないでしょうか。
ここでは、各部門に分けた実際の導入事例を4つご紹介します。

経理部門での導入事例

経理業務では、「ネットバンキングにログイン」「新着の入金表示を確認」「メールで担当者に入金連絡を送信」といった業務がよくあります。
これらの業務を手作業で毎日行うとなると煩わしさや面倒くささを感じてしまうことは否定できません。
そこで、RPAを導入して自動化を図ることで、日々のルーティン化していた業務が不要となり、1週間で100分近くの余剰時間を作り出すことができ、負担の大幅削減が実現しました。

人事部門での導入事例

人事業務には、「勤怠管理システムで情報検索」「勤怠実績をダウンロード」「社員ごとに勤怠時間や時間外労働を算出」といった勤怠管理システムのデータ集計業務が発生します。
これらの作業は、比較的作業負担が大きく、担当者に対するプレッシャーも少なくありません。
RPAを導入して任せることで、作業負担と作業漏れや計算ミスが軽減でき、1年間で約25時間の削減にもつながりました。
また、担当者の抱えるプレッシャーも少なくなり、精神的負担の軽減にもなっています。

管理部門での導入事例

管理業務のなかには、「Excelの納期回答情報を参照」「基幹システムのステータスを変更」「発送完了フラグを確認」といった確認業務が多くあります。
確認業務はチェックすべき項目などは非常に多く、人の手による作業では作業漏れや入力ミスといったヒューマンエラーは珍しくありません。
そのような状況に対し、RPAを導入することで作業漏れや入力ミスなどがなくなり、正確性の向上が図れました。
また、担当者の負担が軽くなり、余剰時間を有効活用できるようになりました。

営業部門での導入事例

営業業務には、「Excelデータの準備」「クラウドの請求書発行システムで情報入力」「PDFを指定フォルダにダウンロード」といった業務があり、月末が忙しくなる傾向があります。
そのため、作業負担が大きく、残業してしまうということも多くあります。
そこで、RPAを導入して自動化を図ることで、月末の作業をロボットが代行してくれて担当者の負担を大きく軽減することができました。
また、作業時間の削減とともに、作業漏れの防止にもつながっています。

アシロボの50の事例集

まとめ

RPA導入によるメリットや効果測定の方法について解説しました。
RPAを導入することには、業務効率化やコストの削減、モチベーショの向上といったさまざまな効果があります。
しかし、何でも自動化すれば良いというわけではありません。
RPAを導入する際には、まずRPA導入によって得られる削減効果とRPA導入にかかるコストを慎重に比較検討することが重要です。
RPA導入によって得られた効果を正確に測定し、自社にとって有益なRPA導入を進めていきましょう。

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